松山湿原とえぞ松沼 |
ラムサール条約は、釧路湿原が日本で最初に指定されて、知られるようになりました。
この条約は、正式名称が長ったらしいので、締結したイランの地名を採用しています。
条約正式名称:
Convention on Wetlands of International Importance Especially as Waterfowl Habitat
日本語:特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約
つまり、水鳥が生息する重要な湿地の環境保護が目的なのは、すぐに分かります。
ただ、指定に当っての条件が分かれていて、水鳥に関係せずとも指定できるのです。
先ず、釧路湿原は丹頂鶴の生殖地だからこそ、指定されたといっても良いでしょう。
かつては絶滅したと考えられたのが、大正13年に、この湿原で再発見されています。
数は十数羽に過ぎず、広大な釧路湿原が人を阻んでいたから生き延びていたのか。
日本人にとって鶴といえば、この丹頂を指しますが、昔から大切にされた生き物です。
一方、かの有名な尾瀬湿原は、このような水鳥の生息しない高層湿原の指定です。
北海道の雨竜湿原も負けじ劣らず、美しい高層湿原ですが、水鳥には関係ない。
つまり、絶滅の恐れのある動植物が生育・生息する湿地まで、範囲が広がりました。
まあ、高層湿原なら高山植物が対象ですが、ヘビで指定を受けたエリアもあります。
それは、沖縄県久米島でして、キクザトサワヘビが棲息しているからなんだそうです。
以来、日本各地で五十箇所が指定されてまして、その内、北海道は十三ヶ所です。
撮影ポイントになる沼は三つ |
これ以外にも、北海道には色々な湿原がありますが、土壌が泥炭のせいだから。
気候が亜寒帯になりますので、枯れた植物が腐葉土にならずに、残ってしまう。
これが堆積したのが湿原で、泥炭はピートとも言い、ウイスキーには欠かせない。
煙で燻したような香り付けになりますが、だから、マッサンがこの泥炭を求めたのだ。
余市に蒸留所を開いたのも、なるほどと納得できますが、この泥炭は成長が遅い。
一年でたった一ミリしか積もりませんから、湿原になるまで気が遠くなりそうです。
だから、学術的に貴重な湿原なら、条約にわざわざ指定される必要もないでしょう。
その一例として、道北の美深町にある松山湿原を挙げますが、秘境に近い印象。
面積で25ヘクタールと小規模ながら、山頂に広がる湿原に吹き渡る風が心地よい。
地味の乏しい土壌に耐えて成長した松の木は背丈が低くて、盆栽を見るようです。
一方、花々は、自分達が訪れた時、夏から秋に代る端境期で、多くはありません。
それでも、タチギボウシ、アキノキリンソウ、ホロムイリンドウなどが見かけられました。
しかも、標高八百メーターと低山なのに、高山帯のハイマツすら自生しています。
いかに道北で緯度が高く、寒冷な気候だといっても、生育条件が厳しいからでしょう。
そんなことを思いつつ、帰宅して調べましたら、ここは、知る人ぞ知る湿地のようです。
つまり、自然環境保全地域に加え、日本の重要湿地の五百にも選ばれていました。
登山道には、エゾトリカブトの花 |
というわけで、周辺で滝めぐりまで楽しめる観光スポットなのに、こじんまりして良い。
雨霧の滝、女神の滝と言って、規模はさほどなくても流れ落ちるさまに清涼感を感じられますし、近くには「平成の名水百選」で選ばれた「仁宇布の冷水」まであるのでのどを潤しながら、トロッコ王国でトロッコに乗車したりして、ぜひ、訪ねてもらいたいものだと、お勧めしたくなるのでした。
おまけ:
展望台からの仁宇布方面 |
雨降りの滝 |
女神の滝 |
かろうじて、タチギボウシを撮影 |
まだ、アジサイが見ごろなんだ |
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