2016年11月1日火曜日

開発と保護の狭間にゆれ続けた、典型的な開発地域プラス観光地をご賞味あれ - サロベツ湿原(北海道・豊富町・幌延町)

サロベツ原野開拓地写真
グーグルマップより

サロベツ原野は、開拓入植者達の手によって、酪農地帯に生まれ変わりました。
上空からの写真を見ても分りますが、碁盤の目のように牧草地が広がっています。

実は、幌延町より北は北緯45度を超えて、農業の畑作も稲作もできなくなります。
寒さに強いジャガイモも取れないわけではないでしょうが、収量が期待できません。

そばも、道北では盛んに栽培されていますが、気候が冷涼過ぎて、無理のようです。
代わりに、北海道農業研究センターは、ダッタンソバの新しい品種を育成しました。

寒さに強く、畑作の北限地で栽培できるのがミソで、「満天きらり」というネーミング。
北海道らしい名前ですが、まだ新しく、この辺りの農業は酪農の経営が中心です。

ところで、このダッタンは漢字で書けば韃靼で、中央アジアに暮らす民族を指します。
まあ、シナ人は中華思想で凝り固まっていて、辺境の国家を漢字で区別しました。

自分達より下位だというような発想で、漢字の当て方も蔑んだ印象があるのです。
例えば、当時の日本は、倭族の国なので倭国、匈奴はツングース族の強国です。

これが極まれば、北狄(ほくてき)や西戎(せいじゅう)、東夷、南蛮等の名づけ方。
周辺の蛮族に国土を脅かされたせいか、まがまがしい文字が頻繁に出てきます。

そこで歴代王朝は、防衛が目的で万里の長城を設けましたが、所詮、張子の虎。
財力に糸目をつけない浪費は、共産主義の中共自体も同じで、変わっていない。

技術もないのに、中古の航空母艦を買ってパクろうとしたり、コピー品が百花繚乱。
そんな民族の性ゆえ、技術より口先だけの書き言葉で、序列をつけようとしたのか。

韃靼そば焼酎「満点きらり」

ちょっと脱線しましたが、この作物が、かの地では重要だったことに違いはありません。
でも、別名ニガソバと言われるぐらいなので、味が苦いんだとかで、食味は良くない。

ただ、そばに比べて、ポリフェノールやルチンが約100倍近くまで含まれており、驚き。
毛細血管の強化作用を持ち、血圧に関係される機能性成分で、血液サラサラ。

欠点は、そばより晩生で、開花までは二ヶ月、収穫までは三ヶ月も掛かる気長さ。
まあ、原産地がチベット、ヒマラヤ周辺の高山帯で、寒冷なやせ地でも育ちます。

やがては健康食品の触れ込みで、この幌延や豊富でも大規模に栽培されるのか。
そんなことを夢想してみたりしますが、現状では酪農経営が中心のミルクランドです。

かつては、東西で約5~8キロ、南北で約27キロの原野が、未開の状態でした。
その後、面積で二万ヘクタール以上の広大な原野が、牧草地に切り開かれます。

車で走ってみると分かりますが、なだらから丘陵地帯は、一面の牧歌的な風景です。
放牧されたホルスタインの乳牛も、のんびりと牧草を食んでいる姿が目に入ります。

サロベツ原野の放牧風景

こうして、基幹産業としての酪農経営が、この地に根付きましたが、環境は二の次。
戦後、日本は食糧難に見舞われて、農作物の増産が急務となり優先されました。

ただ、日本も高度経済成長期を経て豊かになれば、人の考えだって変わるものです。
つまり、工業化で新たな問題となった公害や環境汚染は、人間の生活を脅かします。

暮らし向きにもゆとりができたのに、自然破壊を通じて、生活条件が悪化して行く。
サロベツ原野に残された自然にしても、環境保護が必要だと叫ばれて行くのでした。

一方、この原野の開発は、北海道の経済活動の原則に照らせば、貢献は大きい。
でも、開発が第一か、自然保護が優先かとなると、この選択は難しかったと見えます。

なぜなら、泥炭を土壌改良剤として採取した工場が廃止されたのは、平成14年です。
半世紀近くもの間、泥炭を掘削し続けていたのだし、その間、湿原は縮小して行く。

それでも、日本最大の高層湿原を中心にして、この原野の保護が決断されました。
だから、利尻礼文の後に続けて、利尻礼文サロベツ国立公園の名称になったのか。

ラムサール条約の指定を受けたのも、この工場が廃止されて以降なのでまだ新しい。
元々、利尻富士や、礼文島の高山植物によるお花畑は、昔からつとに有名でした。

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これに比べ、原野とか湿原のような景観は、ややもすれば観光価値が見つからない。
しかも、湿原も原生花園でなければ、ただの野っぱらと言うことになりかねないのです。

夏の季節、エゾカンゾウを中心に、色とりどりの自然の花が咲いてこそ、価値もある。
そして、バードウッチングのような生態系への関心が加われば、立派な観光資源です。

つまり、これらの環境保護と観光資源の折り合いが、エコツーリズムにつながりました。
ところで、日本における高層湿原の代表格といえば、水芭蕉の尾瀬ヶ原でしょうか。

しかるに、このサロベツ湿原は、海抜がわずか数メーターしかないと言う低地帯です。
つまり、ここ北緯45度まで北上すれば、尾瀬の高度を一挙に稼いでしまいました。

標高で約千五百メーター分を、一挙に下り降りて、平地が高層湿原になってしまう。
そこがアクセスの良さでして、体力的に不安なご老体には、ここサロベツが最適です。

サロベツ原野の向こうは利尻富士
言問の松

そして、見過ごさないでほしいのが、開発と保護の実態をこの目で見ることです。
この湿原のビジターセンターを訪ねて遊歩道を歩くだけでは、物足りないでしょう。

というわけで、豊富町の兜沼周辺から、営農された牧草地帯を走って見てください。
大規模に酪農のために開拓された平原を見渡せる、圧巻のドライブを約束します。

そして、途中には、樹齢千二百年といわれ、開拓の手から切り残された、イチイの”言問の松”も圧倒的な存在感を放って、この平原を見守っている分けでして、開発と保護の狭間にゆれ続けたサロベツ湿原と一対をなすものがあり、まさに北海道の典型的な開発地域プラス観光地ではないかと、思うのでした。



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