2017年8月31日木曜日

かつては、がきデカが” 鶴居村から鶴が来る~”って歌うんだけど、夏ならば湿原や湖沼で会えるんだぜ - トーサムポロ沼・温根沼ほか(釧路・根室支庁)

根室市トーサムポロ沼付近にて

日本の最東端、納沙布岬から根室市内に向かって、十分ほどだったでしょうか。
湿原のような湖沼を通り過ぎる途中で、このつがいに急に突然と出会いました。

ガスのかかった日で天気は良くなかったのですが、あの白い羽毛は目立ちます。
湿原で草原の広がる原野の中では、白と黒のツートーンは際立つように美しい。

早速に車を止め、この丹頂鶴に見とれてしまったのは、言うまでもありません。
実をいいますと、前日、霧多布湿原でも、米粒のような丹頂を遠望していました。

そこは、湿原の西端にある琵琶瀬展望台で、持参した双眼鏡で確認しました。
先に観望していた人が、口々に見える見えるとか、いるいると話しているのです。

確か、湿原のビジターセンターでは、6つがいが生息していると掲示していました。
それで、この琵琶瀬は人家から離れており、これなら生息しやすいのかもしれない。

双眼鏡からは、時として、白二つの点が小さくなったり、大きくなったりしています。
恐らく、長い首を折って餌をついばんでいるのか、その分、姿が小さくなるようです。

そして、一定の距離を保ってはいても、つがいであると言う紛れも無い証拠だな。
まあ、ペアを組むと相手が死ぬまで共に過ごして、子育ても夫婦が協力します。

人間の夫婦にも、見習える要素が多いと言われますが、肩身が狭くなるなあ。
絆を確かめ合い、求愛のダンスを踊るのも知られていますが、実態は違うみたい。

営巣地で有名な鶴居村では、毎年、ペアを変える猛者の丹頂もいたりするとか。
そのために、新しい相手を見つけるために、求愛ダンスを踊るのは必死なんだな。

琵琶瀬展望台から、霧多布湿原
がきデカは、シュールなマンガだったな~

そんな風にも思ってしまいましたが、それでも、草原であの白いペアは目立ちます。
しかも、頭部が赤いので、なおさら色合いを考えると、デザイン的にも美形です。

琵琶瀬では芥子粒に見えても、双眼鏡からは頭の赤い点が見えた気がします。
でも、このトーサムポロ沼では、目の前で悠然と餌をついばむツルがいるのでした。

その姿は美しく人目につくので、自然の中、よく絶滅しなかったと思ったくらいです。
この鶴の生息地は道東ですが、冷涼な気候ゆえ、農作物には適しておりません。

一方、酪農が盛んな地域なので、原野を残しつつ、放牧地が形成されました。
加えて、広大な湿原は手付かずのままで、放牧するには土壌改良も必要です。

大規模な開発が必要になりますが、現代では環境とのバランスが求められます。
なので、これ以上の無理な投資は抑えられ、生息環境が維持されたのでしょう。

温根沼、これも幹線道路から間近!

そんなことを思いつつ、納沙布岬には放牧地がありながら、湖沼が残っていました。
付け根に位置する温根沼でも、改めて遭遇しましたが運が良かったと思います。

それで、丹頂は、現在、何羽が北海道で棲息しているのか、とても気になりました。
だって、鶴居村以外でも意外と拍子抜けに出会えるとは、思っても見なかったから。

ネットで調べてましたが、現在、道東に千五百羽近くが生息しているとあります。
絶滅したと思われていた百年前の再発見では、僅かに三十羽たらずだったのです。

それが、人の手によって手厚く保護された結果として、ここまで増えたのは喜ばしい。
一方、温根沼では、七羽の幼鳥が棲息しているのだそうで、繁殖が順調らしい。

というわけで、ここ根室管内は、意外と丹頂に出会えるポイントだと分かりました。
そして、春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターの学芸員の方からは、風連湖も丹頂が棲息していると教えてもらいましたので、この周辺が夏の棲家になっているのは間違いなく、あの優美な姿を、人々の前に惜しげもなくさらけ出してくれたのなら、実に目の保養になるのだと思ったのでした。



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