やっぱ、世界遺産に登録されただけあり、イギリス植民地時代の建築は荘厳です。
ムンバイの陸の玄関口とも呼ばれ、インド国鉄の中央駅のかつての庁舎なんだな。
宗主国さまのビクトリア王朝時代の建築様式を、そっくりそのまま運び込んでいます。
平成16年に世界遺産に登録されましたが、明治21年の完成なので未だ新しい。
竣工してから、認定された当時で百年を少し経過しただけに過ぎないのに認定だ。
ただ、登録基準に照らしてみた結果、それを満たしていると判断されたいうことです。
その一つは、人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群なのね。
確かにそう思うけど、もう一つの人類の価値の重要な交流を示すとは、どんな意味。
まさか、イギリスがインド植民地経営に成功した輝かしい遺産と言う意味なのかね。
そんなことを思うと、決して世界遺産と言うより、世界人民抑圧遺産に近いわな。
駅の構内は、勝手に入っていけるので楽しい |
それでもって、周辺はイギリス植民地系の足がかりの出発点ともなった拠点です。
ここから、二キロほど南には有名なインド門があり、歴代の総統が上陸しました。
こうなると、観光地と言うより、植民地時代の輝かしい栄光の遺産エリアですわ。
虐げられたかもしれないけど、現地人は植民地時代を憎んだのか、分かりません。
逆に偉大な建築物を見せられて、現地人は圧倒されてしまったのが本音でしょう。
そうなると、英国人の思うつぼで、植民地経営がたやすく進んでしまったのかなあ。
一方、当時は、インド諸州にはマハラジャなる藩王(諸侯)もいて、統治しました。
つまり、直接的な統治を現地に任せて、間接的に支配していただけに過ぎません。
ある意味、おいしいところをゲットして、苦労する支配は現地に一任いたしました。
だから、各地にはマハラジャがたくさんいて、独立後も引き続き知事になっています。
特に、面白いと感じたのはマイソール藩王国ですが、王様はクラシック音楽好き。
だから、ピアニスト兼作曲家だったニコライ・メトネルの熱烈なパトロンなのでした。
そして、それが嵩じたのか、本人の晩年には「メトネル協会」まで作ってしまいます。
その趣旨は、作品をレコードにするため、本人の存命中に、録音を進めることです。
結果、主要な作品は本人の演奏でレコードが残されたんだけど、かなりマニアック。
恐るべし文化人のマハラジャといった感じですが、この作曲家、知られていませんな。
だけど、ピアノ協奏曲1番は、ラフマニノフの2番に負けないくらいの作品だと思うよ。
ピアノの独奏から始まるのは似ていても、三楽章まで切れ目無く演奏する独自さ。
でも、どちらにもあるロシアのスラブ的な旋律が、グイグイと押し出されて素晴らしい。
一押しでお聞きするのを勧めますが、手っ取り早いのはユーチューブからでもOK。
というわけで、略してCTS駅は、映画のフィナーレの舞台としても使われておりました。
それは、アカデミー賞の8部門で受賞した「スラムドッグ$ミリオネイア」と言う映画でして、最後にみんなが踊るシーンで、この駅のプラットフォームが使われておるのですが、映画の中では、ヒンドゥーとイスラムの激しい宗教対立、貧しい人々や子供を餌食にする犯罪組織、果ては主人公を感電させる警察の拷問、カーストや学歴などによる差別まで、インドの闇の部分までえげつなく暴き出しておりまして、これが宗主国さまのイギリスだから製作できたのかも知れず、国家が核の武力を持ったとしても、ムンバイに乞食はまだいるんだよと、叫びたくなってしまうのでありました。
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