現在、部署が変わってしまって、海外規格にかかわる仕事をこなしています。
メーカー勤務ですから、海外へ輸出する製品も色々と取り扱っているのです。
まあ、産業機器の分野ですと、各国の工業規格の制約を受けたりします。
だから、使用環境の基準を満たさないと、輸出できない場合もあるんだな。
お馴染みなのは防水ですが、可燃性の物質を取り扱う場所では防爆です。
これは、発火しやすく爆発しやすい物質、石油類などで利用する製品なの。
まあ、危険なガスの発生しやすい場所で、火花の出る機械は使えません。
電気配線がショートして火花が散り、引火性のガスに着火したら大変です。
なので、そのような場所で使用する製品は、爆発を防がねばなりませんな。
だから、文字通りに防爆なのですが、設計もその主旨に従うということです。
それで、この規格が世界で共通化されているかと言うと、まだバラバラなのよ。
これだけ、世界の行き来が錯綜してくると、多少は歩み寄りもありますがね。
考えてみれば、防爆のベースは、火事から人を守る消防の歴史がスタート。
これは、さまざまに異なる国々の民族文化を背景にしているのも事実です。
人々が集まって住めば、集落が出来ると、恐ろしいのは火事の延焼だよね。
当然、消火のため自衛団を編成したり、火事を防ぐルールも出来て来ます。
火気厳禁と言うけど、火を使用してはならない場所とか複雑になりますね。
それで、その最終的な進化は、人々が使う道具で規格を定めることでした。
発端は、十八世紀、ヨーロッパの炭坑の坑内で、爆発事故が多発しました。
原因は、発生するメタンガスと配慮しない電気配線で、そりゃショートだよ。
引火するのは当然で、これから使用される機器の設計に注意が及びます。
こうして、デザインの分野で防爆の概念が誕生したのですが、知ってたかな?
そして、防水、防塵も同じく因果関係があって、生まれたのは間違いない。
ところで、十八世紀といえば、日本は江戸時代、火消し制度が関の山だ。
しかも、石炭産業が勃興したのは十九世紀ですから、防爆すらなかった。
そうなると、国々の産業レベルで防爆の規格は、立ち上がりが異なります。
まして、生活文化も違うし、こういった規格がバラバラなのはやむを得ない。
そこで、アメリカの規格を紐解きますと、”UL”と言う名称が該当するのです。
これは、Underwriters Laboratoriesの略ですが、ちょっと意味が違う。
アメリカ保険業者安全試験所と言いますが、製品を試験する組織ですわ。
一方、政府にはANSI/NEPAなる機関があり、基本規格を作っています。
ただ、これだけですと内容が大雑把なので、実際の設計上、指針が欲しい。
こうして、試験団体がどう設計したら良いのか、ハウツー本を作りました。
これが多種多様に存在して、番号が振られていますが、防爆は1203です。
なので、米国は、国家認定の民営機関が防爆の内容を定義づけています。
だけど、日本語訳が存在していないので、必死で翻訳している最中なんだ。
まあ、グーグル翻訳は、AI機能が日々進化して、性能が向上しております。
それに、こういった規格文書は、一定の文法に従って作成されるのも利点。
一度、文法構造をAIが把握すれば、その体裁に従って翻訳をしてくれます。
だから、翻訳精度が向上して、最近では手直しが先ず不要になりました。
文中、ですます体、である体を整える必要は出てきますが、煩わしくもない。
一度、翻訳に目を通す過程の一苦労と思えば、なんともないと思うのです。
それより、dust-iginition-proofの造語は、グーグルも訳せませんでした。
防塵・防爆って意味だけど、UL野郎は糞な専門語をこさえるなと言いたい。
というわけで、1ページずつスキャンしてグーグルドライブでOCRする毎日。
このUL1203は、200ページ近くもあるので、時間を作っては翻訳をちょこまかいそしんでいる最中でして、研究開発の設計者なら英語ぐらい読めなきゃ、まともな製品は設計できないのではないかと疑念を持ちつつも、先ずは翻訳作業に従事せねばと自分に言い聞かせる自分がいるのでした。
いいねと思ったら、二つポチっとね!
0 件のコメント:
コメントを投稿