シュロ・野生化が見事 |
以前、勤め先の事業所で植樹されたココスヤシの植物を題材に取り上げました。
こう言う熱帯植物の椰子の木は、日本で自生できるほど、寒さに耐えられます。
ですが、ネットで探して見ると、種類が限られるし北限が宮城県辺りまでです。
勤め先のヤシも、個体差で寒さに生き残った株だけが育ってきたという話です。
零下10度まで耐えられる品種ですから、東日本の宮城県でも育つのでしょう。
ただ、冬の間は上部が枯れてしまい、暑い夏には葉が茂る繰り返しになります。
このため、成長はかなり遅いのかもしれませんが、越冬して生き残るようです。
これに比べれば、神奈川県でも横浜は海に面した都市なので、比較的温暖です。
なので、勤め先のヤシも順調に育って、幹も人の手で抱えられないほどなんだ。
二人で手をつないでやっと抱えられるぐらいだとおもいますが、五十年の歴史。
ワシントンヤシかな(戸塚警察署) |
長い時間を費やしたと思いますが、ここで熟した果実も大量に地面に落ちます。
甘酸っぱくて人が食べられるほどですが、カラスなど野鳥もついばむだろうな。
そして、その実が遠くまで運ばれて落とされて、新たに芽吹くのかもしれない。
まあ、そんな夢想をしたのも、近所の里山でヤシのような植物を見かけるから。
自分が散策の途中、七八本くらいは見かけましたが、事業所ほど大きくはない。
幹の太さも二十センチないし、丈も大きくて四五メーターくらいと小ぶりです。
それと、てっぺんから生えている葉っぱの形もなんだか違うような気もします。
変だなーと思ってググってみましたら、シュロという古来からある植物みたい。
漢字で書くと”棕櫚”になりますが、昔から、縄、たわし等に使われてきた素材。
ヤシの木と違って、幹の周りの樹皮もごわごわの繊維でささくれ立っています。
なるほど、この繊維をはぎ取って加工しながら、生活用具を作っていたんだな。
ただ、最近は天然繊維より化学繊維の製品に押されて、生産者が激減しました。
それでも、和歌山県で細々でも生産されている産品が、根強い人気のようです。
つまり、繊維を素材に生活用具を作る有用植物だったわけで、本来は帰化植物。
平安時代に中国から九州に定着したといわれていますが、時間をかけて東進だ。
こうして、最終的には温暖化のおかげで北海道まで自生するようになったとか。
もちろん、有用植物で栽培されたのが普及したのですが、近所のは野生株です。
これを、ノラジュロと呼ぶみたいで、野良猫、野良犬のたぐいなんでしょうな。
というわけで、近所でココスヤシの自生が広まりつつあるという考えは勘違い。
昔から生活用具の素材を収穫するためにシュロが植えられて来たのであり、自分の住んでいる地区にはまだ農家も残っていることから、栽培植物として顧みられなくなった株が、自然繁殖で種子を広めていったのがノラジュロ化したとしか思えず、やっぱりココスヤシの生育にはここは厳しいのかもしれないと思ったのでした。
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