Louis Wain (1860 - 1939) |
日本の江戸時代にも、現在のような社会現象化した”ねこブーム”がありました。
浮世絵界きっての愛猫家だった絵師・歌川国芳の存在は有名で知られています。
猫は、二千年前に中国へ伝えられてから、ほどなくして日本へ渡ったようです。
今までは、仏教伝来で、経典をネズミから守るために渡ったとされていました。
この通説は、永らく信じられてきましたが、本当の渡来はもっと遡る弥生時代。
最近の遺跡調査でも、貝塚から猫の骨や須恵器に足の踏み跡が残されています。
当時はペットとして飼われていたのより、ネズミの食害を防ぐためだったのか。
それだけ人と猫ちゃんの付き合いは長いのですが、冒頭の紳士にしてもそうだ。
猫ちゃんをなでながら心を通わせる情景ですが、紳士の名はルイス・ウェイン。
猫を対象とした作品で知られるイギリスの画家、イラストレーターで有名な人。
そして、”全国猫クラブ (National Cat Club) ”の議長として活躍していました。
そのイラストなのですが、活動時期に応じて作風が大きく変化しているのです。
なぜかと言うと、晩年には統合失調症を患っており、その病状の影響が大きい。
作品中に痕跡をなぞることができるようで、学術的にも引用されているほどだ。
ただ、本人は描いた時期を絵に署名していないので、時系列が良く分からない。
確かに、背景が原色の花柄を模した幾何学模様で、構成された作品もあります。
ですが、母が編んだ手作りの織物を描いた図案を背景にしただけかもしれない。
そんな主張をする人もいて、病状の悪化と作風をこじつけた案配かもしれない。
むしろ、少し心を病んではいたが、可愛らしい猫ちゃんを描いた紳士で十分だ。
作風が精神症状の悪化を示していると言うのも、実にネコちゃんには失礼な話。
実は、あるレコードジャケットのイラストを見て、この人を想像してしまった。
それは、1980年代に活躍したエレクトロポップグループの”Blancmange”です。
タイトルが”Happy Family”のジャケットでは、ネコちゃん達が楽しんでいます。
その画風もとても似通っていたから、ひょっとしてと思いましたが違いました。
まあ、別のイラストレーターが描いていたにせよ、影響は受けているのだろう。
というわけで、イギリスでは、ワンちゃんよりネコちゃんが多く飼われていた。
どちらかと言うと、イギリスのペットと言えば、ワンちゃんだと思いがちですが、ところがどっこい、元々ネコちゃんの方が多く飼われてきたようなので、意外な事実に驚いてしまったのでした。
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