2015年7月2日木曜日

北越雪譜を育んだ塩沢の街並みが生まれ変わっていて驚いた - 鈴木牧之記 念館(新潟県)

雁木作りの牧之通りが素敵

越後では、屋根に雪が一メートルも積もると、ミシリと上から音が聞こえてきます。
雪の重みで家が倒壊するかもしれず、これを防ぐために「雪堀り」が必要でした。

雪下ろしと言わせないところは、豪雪で雪かきが追いつかなかったからでしょうか。
正に家を掘り起こすイメージで、積雪が半端ではなかったのを物語りますね。

作業では、コシキ(スコップ)という木の道具を使い、豆腐のように切り出します。
家の立て込む場所では、樋(とい)を設けて屋根の下へ落とす作業をしました。

こうすれば、効率よく滑らせて落とせますし、通路に手際よく積み上げられました。
ただ、往来に溜まった雪は次第に高くなり、人々の通行に支障を来し始めます。

しまいには、お向かいやお隣の家を行き来に、洞(トンネル)を掘ったほどでした。
一方、街道に沿った宿場町では、表通りに宿屋や商店が建ち並んでいます。

このため、家々では、通行が楽なようにと、軒に長い庇(ひさし)を設けました。
これを、雁木造(がんぎづくり)といい、新しくなった牧之通りにも採用されました。



この通りですが、かつての三国街道の宿場である旧塩沢町の市街にあります。
通りの名称も、「北越雪譜」の著者、鈴木牧之からちなんで名付けられました。

つまり、宿場町の風景を再現した街作りで、平成21年竣工と間もないのです。
電線も地中化されており、石畳の歩道に生まれ変わった景観は、すばらしい。

そして、この街作りが斬新だったようで、国土交通省から表彰を受けております。
当然、多くの観光客で連日にぎわうようになりましたが、むべなるかなでしょう。

平成23年度(紹介資料はこちらから
 「都市景観大賞(都市景観部門)」
 「手づくり郷土賞(一般部門)」

ところで、江戸後期の文人、鈴木牧之については、この地に記念館があります。
名前も「鈴木牧之記念館」といい、通りの無料駐車場に隣接していました。

作者の業績を紹介した博物館ですが、加えて、雪国の風物も紹介しています。
自分的には、学生時代に原文に親しんでいたので、興味もあって再訪しました。

鈴木牧之記念館パンフ(平成四年頃)
グーグルドライブはこちらから

実は、四半世紀も前にスキーに行った帰りがけに、一度、訪れたことがあります。
しかも、疲れていたせいなのか、そのまま駐車場で一晩を明かしてしまいました。

近所の犬が一晩中鳴いて、眠れなかったのを思い出しましたが、気づいたのか。
車で野宿するような貧乏スキーヤーには、容赦もなかったような気もします。

と言うわけで、合併により南魚沼市に自治体が変わっていた塩沢町なのでした。
だからと言って、格別、住んでいる人々に生活の営みは変わらない気もします。

ただ、平成13年度に道路の拡幅を行う工事が決定された際、地元では、これを数百年に一度のまちづくりの機会ととらえて、沿道の建替え家屋に対しては統一デザインを導入するなど、積極的なまちづくりに進めたことが、現在のすばらしい牧之通りにつながっており、この目でしかと見届けられた点では、自分には楽しい再訪になったのでした。


おまけ:
鈴木牧之記念館パンフ(再訪時)
グーグルドライブはこちらから
鈴木牧之記念館入館券


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