JR駅貼りポスター・西福寺 |
この開山堂の彫刻は、繊細かつ大胆な美しさの造形美のため、思わず見とれました。
この木彫りを遺したのは、希代の名工、石川雲蝶で江戸時代の末期に活躍しました。
越後とか、日本のミケランジェロと呼ばれているですが、訪れて初めて知りました。
他方、越後日光と異名を取るのに、名工、左甚五郎になぞらえないのが不思議です。
確かに、甚五郎には、伝えられる作品があっても実在しなかったという説があります。
遺された作品の作成年代が、一世紀あまりと時間的な隔たりが大きすぎるのです。
だから、ある彫刻集団の流派が、一人の名前に集約された可能性が否定できない。
実際、鎌倉時代には、仏像彫刻で名を馳せた運慶も、慶派という一派を設けました。
一方、雲蝶は生前の詳しい消息が残されていませんが、墓もあり実在していました。
だから、実在に確証のない甚五郎とは言えず、ミケランジェロにあやかったのでしょう。
本人は博打好きで寺の住職と賭けて、負けたがために寺に彫刻した逸話もあります。
新潟県の各地に多くの作品を残していますが、代表作が正にこの寺院なのでした。
JRの駅貼りポスターでも、天井彫刻を見上げるタレント舞の海さんが登場しています。
住職もご一緒に並んでおられますが、ポスターを眺めるだけでも雰囲気が伝わります。
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曹洞宗の名刹ゆえ、日本で開祖となった道元禅師の逸話を元にした見事な彫刻です。
このため、新潟県指定の重要文化財とありましたが、国指定ではないのがミソです。
なぜなら、県の文化財保護条例に基いた有形文化財にとどまっているからでした。
他方、一般的な重要文化財というと、国が指定したものだけを正式には指すようです。
このため、文化財の価値が十分にあるのに、新潟県指定と断わらざるを得なかった。
まだ時期的には新しいので、国指定まで昇格できるには時間を要するのでしょうか。
個人的には、十分に重要文化財の指定を受けるだけの価値があると思いました。
ところで、残念なのは、お堂を覆い屋が掛けられており、見た目が不恰好なのです。
越後の冬は、雪が湿って重たく、屋根に積もった雪から倒壊を防がねばなりません。
このため、お寺の趣が損なわれてしまうような気もしましたが、致し方ないでしょう。
寺の周囲には、お土産屋が一軒に、小さな集落が寄り添うだけで、鄙びております。
そんな開山堂ですが、最寄のJR駅が八色(やいろ)でウイキの解説が中々面白い。
西福寺開山堂 |
”かつては、スポーツコム浦佐国際スキー場があり営業していた。”とあるのです。
確かに、お寺から西の方角の丘陵地帯にゲレンデがありましたが、今はありません。
閉鎖されてから、はや十年が経過しようとしていますが、施設も撤去されています。
晴れていれば、米どころ魚沼の雪の田園風景も見おろせて、悪くはない借景です。
まあ、バブルのスキーブームが霧散消失した現在、間引かれるゲレンデもあります。
近隣にあった、かつての名門、浦佐スキー場だって消え去ってしまったのですから。
というわけで、近場のスキー場としては、小出、八回山麓スキー場が健在でして、スキー・ボーダー客が少しずつ増え始めている現在、ゲレンデ運営では健闘していただきたいと思う一方で、このお寺は通年で拝観ができますので、冬場でもお近くに出かけたときは、ぜひに立ち寄ってもらいたいとも思うのでした。
おまけ:
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