2016年8月9日火曜日

オオウミガラスを絶滅に追いやったのは毛唐だけど、日本人は真似しちゃいけない - オロロン鳥繁殖地(天売島・北海道)

このヒナ鳥、親鳥から迷子になったのかな

天売島の旅行から帰宅して、日をおかずに、この島にちなんだ書籍を買いました。
題名は、”オロロン鳥-北のペンギン物語”と言って、島に生息する海鳥の話です。

と言うより、近所のブックオフを立ち寄ったところ、中古で百円が痛く気に入りました。
まあ、面白そうなセコハンの本がわんさかあって、懐を気にせず買ってしまいます。

かつては四万羽も生息していたのに、最近は五十羽まで激減したウミガラスのお話。
オロロンと聞こえる泣き声から、別名はオロロン鳥で、こちらがよく知られております。

絶滅の危機に瀕した、この北のペンギンともいうべき、野鳥を保護する話なんです。
著者は、この天売島でかつては教職にあった、自然保護活動に熱心なお方です。

そのせいか、教え子の学童と共に、訪れる旅行者へ、保護のPRを訴えてきました。
島は、国定公園の指定下にあり、鳥獣保護の特別区として厳重に守られています。

保護が遅かったのかと思われるほど、ハイピッチな生息数の減少は、問題でしょう。
おとりのデコイ(模型)を置いて、スピーカーで泣き声を流すなど、今や必死の対策。

こういった断崖絶壁の下で生息

こういった作戦が功を奏したのか、細々ながらも、島への飛来が続いて来ています。
一方、アイヌ語でエトピリカと呼ばれる海鳥は、この島からコロニーが消滅しました。

このため、今や道東のごく一部でしか見られない、幻の鳥になってしまいました。
これに比べてて、オロロン鳥は、手厚い保護で、これから生き延びるのでしょうな。

すこし、心配になってきますが、他方、海鳥のウトウは、世界一の繁殖地だそうです。
その数、六十万羽にもなり、繁殖地では、地面に巣穴が至る所に掘られていました。

夏の間、この繁殖地見学のために観光バスが出ているんですが、歩けなくもない。
こうして、キャンプ地の焼尻島からフェリーに乗りなおして、天売島に向かいました。

オロロン鳥のペンキ塗りマスコット

先ず、港の岸壁に描かれた、オロロン鳥のマスコットの出迎えが目に入ります。
ここも、焼尻島に似たようなもので、人口は三百人ちょっとと、過疎の離島です。

ここから、島を一周する二車線の舗装道路を、チンタラ歩きますが、車も少ない。
途中で、雑貨食料品に立ち寄って、島の銘菓なのか金つばを買ったりもしました。

だらだらとした平坦な道ですが、つづら折れの坂道になると、急登が続き出します。
この頂上と思われる地点が赤岩展望台で、灯台もありますが観光客は我々だけ。

標高差で百五十メーターほどを登りきったことになりますが、真夏の日中はハード。
汗だくになりつつ、晴れ渡った青空の下、トレッキングが好きだから、てくてく歩く。

ただ、たどり着いた営巣地は、穴だらけの地肌だけで、海鳥は全く見当たりません。
どうも、日が明るいと洋上に出て餌取りをしているようで、潮風だけが吹きぬけます。

巣穴だらけの斜面に、ウミガラスの看板
オロロン鳥、海外では切手になっていました

ここでお昼にして、ちょっと休憩したら、次の観察小屋を目指して、歩き出しました。
この赤岩は、島の最西端にあり、道路は、北側の丘陵地帯を通り抜けていきます。

そして、この観察小屋は、海鳥の住む、切り立つ海蝕崖ぎりぎりに建っていました。
誰も訪れた形跡はなく、生き物が侵入させないよう、閉めっぱなしのままなのです。

中は蒸し暑いし、クモの巣も張っていて、景観は素晴らしくとも寂寥感が漂います。
備え付けの観察用の望遠鏡で眺めますと、確かにおとりのオロロン鳥はおります。

あそこで営巣しているのかと思いつつ、本物のオロロン鳥は発見できませんでした。
一方、オオセグロカモメは、海風に乗って、グライダーのように優雅に飛行します。

ここでは、この鳥が生態系の頂点にあり、オロロン鳥のひなだって捕食されてしまう。
自然界の営みは、実に厳しい現実があり、何とか巣立って欲しいと思うだけでした。

クリックで拡大してご覧ください

というわけで、食堂に立ち寄ったら、その日は禁猟日で、ウニ丼はありませんでした。
残念に思いつつ、刺身定食ならできるといわれたので、代わりに注文する始末。

昼飯も思い通りにならないとボヤキながら、絶滅危惧種のこの鳥だって、繁殖に苦労して、デコイまで担ぎ出して、呼び寄せようとする始末で、なかなかに自然は思い通りには、戻ってくれないものだなと痛感しながら、新鮮な刺身に舌鼓を打つ自分がいるのでした。


おまけ:
焼尻島から見た天売島
利尻岳がきれいに見えるよ
七月末でアジサイが満開なんだ

エゾカワラナデシコも美しい

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