2021年8月13日金曜日

同姓同名には、ナチスの強制収容所における収容者組織隊員で、処刑された人物もいたりして、本人も肩身が狭かったのかな ー ピアノ協奏曲(ハンス・ヴォルフ)

ナチス党員番号:3430914
     
クラシックの巨匠、カラヤンは、実はナチス党員だったことが知られています。
あの何百万人のユダヤ人を虐殺した狂気の指導者、ヒットラーが率いた政党だ。

冒頭の画像は党員証で、右下は青年時代の本人ですが、ヒットラーユーゲント。
まさに、バリバリのナチズム信奉者のように見えますが、本人曰く生活のため。

要するに、地区で党員になれば、歌劇場の音楽総監督に有り付けたかららしい。
当時のドイツは、ナチ党が支配した全体主義ドイツなので揉み手擦り手の世界。

その後、第三帝国のために文化宣伝を活発に行って、国家指揮者までせしめる。
そうなると、ナチスに協力した人物として、戦後は糾弾されたかと想像もつく。

ところが、総統ヒットラーが臨席したワーグナー歌劇でへまをしでかしました。
お気に入りの歌手が歌い出しの場所を間違え、それが彼の責任とされたんだな。

遠ざけられたのも事実で、加えて二度目に結婚した連れ合いは血筋がやばいの。
このアニータさん、4分の1ユダヤ人の血を引くらしく、ナチスは脊髄反射だ。

クォーターなど不問に付してもよかったのですが、党中央情報局が嗅ぎつけた。
なので、やばいとばかりに、ご本人は党員資格を返上と自己申告をしています。

だけど、調べると返上の事実がないのですが、ナチスと距離を置いたのは事実。
だから、戦後、非ナチ化を進めたドイツ政府は、ご本人にはお咎めなしでした。

こうして、クラシック界の皇帝、カラヤンが誕生するのですが、彼は勝ち組だ。
要するにナチ協力の非難を上手くかわした分けで、できなかったらどうなるか。

その際は、芸術家であっても公職追放,職業制限,財産没収の憂き目をみます。
このため、ナチス時代の作品を破壊焼却してまで、生き残ろうとした人もいる。

Hanns Wolf (1894-1968)

Hanns Wolf - Piano Concerto in C-sharp minor (1929)
      
それが、このハンス・ヴォルフという作曲家で、戦前は音楽院の教授職でした。
一方、ウイキペディアでは、戦前の経歴紹介が豊富で、かなり活躍しています。

他方、戦後は教職を離れて作曲家、演奏家として活動したと、実にそっけない。
思うに、音楽作品を破棄した事実は、ナチスの協力を遠ざけたかったのだろう。

だから、本人がどんな作風だったのか分からないまま、忘れ去られてしまった。
実際、彼が再評価されたのは六十年後になり、ピアノ協奏曲が再演されました。

そして、二度目の演奏では、その音源がユーチューブにアップされてもいます。
だから、作曲家ヴォルフの名前が有名になったわけで、聴いてみる価値はある。

というわけで、ただ協奏曲を紹介するだけでは詰まらなくて推理をしたまでよ。
本当に、ヴォルフさんがナチス協力のあらぬ嫌疑をかけられたくなかったのかは、調べてもはっきりしなかったのですが、多分、そんなことだろうと思いつつも、この協奏曲はぜひ試聴してもらいたいと思うのでした。



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