2017年9月21日木曜日

葛餅の原料になるけど、雑草としてはクズというより、最強レベルの猛者であるのをお忘れなく - 葛(くず)の花(栄区・横浜市)

これが葛の花だったのだ

毎朝、会社までテクテク歩いて通勤なのですが、途中、土手沿いの道を歩きます。
カワセミの棲息している、いたち川が流れていますが、反対は切り立った崖地です。

実を言うと、付近はバイパスの道路工事をしており、この土手道も改良されました。
元来、この道はもっと低かったのですが、鉄骨で嵩上げされて歩きやすくなりました。

しかも、路面は水ハケが良くてざらついているので、雨天でも滑ることがありません。
欄干も両側に取り付けられて、実に便利になりましたが、他に楽しみも増えました。

それは、二十メーター程度の切り立った崖の中腹を、この道が通っているからです。
以前の通り道だと、かなりの崖下なので、上部に繁茂する植物は、分かりません。

ところが、毎日歩いて通う内に、色々な植物が生い茂っていると気づいて来ました。
それが、ツタやツルを這わせる植物だったのですが、これが沢山の種類に驚きです。

ヤマノイモ、オニドコロ、カラスウリ、ヘクソカズラに加え、最近出合ったのは、この花。
冒頭の写真にあるように、赤紫色の花が房状になって咲いていたのを、発見です。

まあ、見つけたというより、路面に花びらがたくさん落ちていたので、気がつきました。
頭上を見上げたら咲いていたわけで、気になりましたので、先ず写真を撮ります。

路面に落ちていた花びら
通り道の全景

これがあれば、好きな時にネットで画像検索をしながら、花を見比べられましょう。
ただ、特段に珍しいというほどのものでもなくて、自宅の周辺でも見かけています。

特に、金網で囲われた空き地などで、旺盛なツルを伸ばしながら、咲いております。
だから、月並みな植物だと思いましたが、頭上から垂れ下がって咲くのは風流です。

ちょっと、興趣も湧きましたし調べてみましたが、これがクズだとは知りませんでした。
漢字で書けば葛になり、乾燥させた根は、生薬の葛根(かっこん)として使われます。

風邪薬の葛根湯(かっこんとう)が最も有名ですが、自分も常用する薬の一つです。
もちろん、くず粉は、元来、この植物の根に含まれるデンプンから取られていました。

つまり、食用の植物が、こんなに身近で繁殖しているとは、気が付きませんでした。
一方、この崖には、食用になるムカゴの出るヤマノイモ(自然薯)も生えています。

ところが、このクズは、つるを伸ばして広い範囲で根を下ろすので厄介な植物らしい。
北米では、有害植物かつ侵略的外来種として指定されるほどで、エイリアンだよ。

活発に駆除が続けられているとありましたが、あそこの崖地なら、安住の地でしょう。
昔から、地主さんがあの小山を手放さないでおりますので、ツル植物の天国だな。

というわけで、なんだか、横浜に住んでいるのがウソみたく思えてくる土地柄でした。
最近、残念なことに、土手道の欄干に巻きついていたつる植物などは、区役所の除草作業で刈り払われてしまったので、実にこぎれいでこざっぱりとしてしまい、毎朝の地味目な植物鑑賞を楽しむには、いささか、繁茂したツルの迫力が減ってしまったのを、寂しがる自分がおるのでした。


おまけ:和歌や俳句にも詠まれております

 「ま葛原 なびく秋風 吹くごとに
    阿太(あた)の大野の 萩が花散る」   
             万葉集 作者不詳 

 「梨棗(なつめ) 黍(きび)に 粟(あは)つぎ 延(は)ふ葛の
  後も逢はむと 葵花咲く」
    万葉集 作者不詳 

 「葛の風 吹き返したる 裏葉かな」
               高浜虚子



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