住宅街を歩くと、クズの花が咲いているのを見かけるような季節になりました。
地味でも赤紫色の花が人目を引き付けますが、蔓はフェンスに絡まり伸び放題。
繁茂するさまは単なる雑草で、植物好きでもなければ、誰も見向きをしません。
個人的には、葉を刈ろ取って緑肥にしましたが、理由は家畜の餌になるからだ。
家畜が食べて毒にならないのなら、栄養価もあって、用土にすき込めるだろう。
食用にもなるし、小さい若葉は、おひたし、和え物、炒め物にもなるのだそう。
うーん、雑草なのに有用植物とは思いませんでしたが、極めつけはくず粉です。
クズは、塊根にデンプンを蓄えるので、精製すればくず粉(片栗粉)になるんだ。
マメ科の植物なので、仲間の植物に野菜になるものが多いから、一理あります。
それで、このクズが実を結んで、たくさんの鞘を抱えている姿を見つけました。 鞘の中に豆(種子)ができているようですが、種は小さくて食用にはならない。
なのに、生命力が旺盛で発芽すると、グングン成長して繁茂するのは驚きです。
アメリカでは侵略的外来種として広く認知されていて、エイリアン扱いの植物。
日本でも、春秋に町内会で草刈りをする際、格好のターゲットになっています。
しかも、最近では、クズ粉にしても、イモ類から精製されるまがい物が多いな。
工業化で大量生産されれば、安価で手に入りやすい分けで、今やクズは雑草よ。
うーん、かわいそうな気もしますが、このマメ科の植物には樹木まであります。
台湾など南方の国を旅すると分かりますが、街路樹の中に鞘がぶら下がります。
それが、三十センチにも達する大きい鞘で驚きますが、ホウオウボクだってさ。
漢字で書けば、鳳凰木になりますが、鮮やかな赤い色の花が咲くのだそうです。
自分が旅した時は、秋だったので結実した鞘だけでしたが、樹高はかなり高い。
見上げるような位置に鞘がぶら下がっているので、面白くて眺めていたんだな。
それで、この木はジャケツイバラ属に含まれますが、仲間は果実のタマリンド。
南国で見られますが、鞘に入った実は、ドライフードにして食べられています。
ねっとりとした触感で、食べると甘酸っぱいので、それなりに美味しいんだな。
昔、タイに住んでいましたので、地方へ旅行すると買い求めて食べていました。
もっとも、ジャケツイバラは日本でも普通にみられる低木で、葉が特徴的です。
小さな葉が10対ほど集まって、大きな葉を形作るので、探しやすいと思うよ。
花が咲けば黄色で目立つし、秋になって鞘ができると、マメ科の植物だと実感。
というわけで、マメ科ジャケツイバラ属の植物には色々な思い出がありました。
ジャケツイバラ、葉が特徴的 |
本当は、このクズの根を掘り起こして、本くず粉を精製してみたいと思っていましたが、含有成分が4%と非常にわずかで、かなり集めないとくず粉にならないとネットで知って、興味本位は知識だけに止めておこうかと思った自分がいるのでした。