平成5年3月28日滑走 |
朝日という自治体名は全国に点在しますが、ここは村に所在するゲレンデなの。
つまり、朝日村にあるので、スキー場も”あさひプライム”が命名されたんだな。
ただ、平成の大合併で消失した朝日町も多い中、この村は今でも健在なのです。
それで、山形県朝日町にもゲレンデがあって、リフト4本とそれなりに大きい。
そんな朝日つながりですが、面白いのはこちらの隣接する自治体名なのだった。
その名も山形村で、隣同士が村のまま行政が行われているのが際立っています。
まあ、UターンIターンで長野県が取り上げられますので、活力はありそうだ。
しかも、塩尻市や松本市の郊外にあるから、住宅地も広がりつつあるのは事実。
なので、松本盆地の経済圏で機能を果たしている自治体の位置づけなのですな。
従って、財政も健全だろうから、お隣と共に村のままであり続けるのでしょう。
ところで、そんな豊かな自治体の朝日村だから、美術館を所有しているのです。
まあ、スキー場も開設した上に、朝日美術館までオープンするのは余裕の極み。
滑走する前日に鑑賞させていただきましたが、当日は村内児童の作品展だった。
未だ収蔵作品が少ないのかもしれないと思いましたが、出色は館外の銅像です。
松本市内にもある |
錫杖を突き立て、強風に向かう僧侶の立像で、播隆上人と紹介されていました。
それで、自分はこの僧を知っていて、新田次郎の小説、”槍ヶ岳開山”の主人公。
実は、彼こそは近世日本における北アルプス登山道の開拓者ともいえる人だよ。
信者が楽に登山できるように、笠ヶ岳の登山道を整備して、次は槍ヶ岳に挑戦。
これも登りやすくするために、近隣から浄財を集めて鉄鎖をつける努力をする。
実は、高所の登山では、神秘的なブロッケン現象を体験できることもあります。
これは、太陽を背にして自分の影に、光背のような光の輪が現れることなんだ。
この現象を宗教的体験に符合させて、修行の一環で登山を行うのはありえます。
ただ、この現象は天候と太陽の位置で偶然に出現するから、簡単に見られない。
なので、登山をした信者から、上人様へ不満を言い出す人が現れたという顛末。
そんな逸話を織り交ぜて新田次郎は執筆したのですが、疑問は美術館の銅像だ。
この村からは、北アルプスの眺望が望める箇所は限られており、不思議でした。
それで調べてみたら、この銅像を作成したのは、朝日出身の彫刻家・上條俊介。
なるほど、出身者の作品を美術館に設置して当たり前だし、遺族の寄贈もある。
なので、ここに置かれたのはごく当然で、スキー以外での思い出になった分け。
ゲレンデについてはパンフを見てもらうと分かりますが、リフト二本と小規模。
コースレイアウトは、スロープが真っ直ぐ上がらずに途中でL字に折れ曲がる。
つまり、緩斜面から急斜面の斜度を稼ぐために、無理して傾斜を選んだみたい。
要するに、家族連れの行楽地として安全に楽しく滑るのが、メインのゲレンデ。
というわけで、近郊都市部からは、時間もかからずに手軽に着けるのががウリ。
ただ、ここは内陸気候なので寒いといっても雪がそう降り積もるわけでもないし、その分、ゲレンデの整備にはスノーマシンでガンガン降らせて対応していますが、雪道を走行せずに気楽に駐車場まで直行できる安易さは、都市型ゲレンデのお見本だと思ってしまう自分なのでした。