東京オリンピックのピクトグラム |
ピクトグラムは、言葉や文字の代わりに、見ただけで分かるデザインのアイコンです。
絵文字、絵単語になりますが、非常口を示すサインのイラストで、おなじみのもの。
言語の壁を越えて、ある程度の常識を分かち合えれば、その意味を理解できます。
特に、たくさんの国や地域から人が集まる特別な場所は、非常に役立つはずです。
その典型的なイベントは、スポーツの分野なら、オリンピックが代表格になるんだな。
昭和34年の東京オリンピックは、欧米以外の地域で、初めての開催になりました。
コミュニケーションも日本語になり、アルファベット圏以外の国では初めてなのです。
欧米は、言語こそ各国で違うものの、書き言葉はアルファベットの表音文字なんだ。
しかも、各国の言語は互いに影響しあったりして、借用語もあったり似通っています。
意思の疎通を図ろうと思えば出来なくもないはずで、何とかなったのが実態でしょう。
一方、日本語は、漢字やらひらがななど、表意・表音文字が複雑に絡み合います。
これに、ローマ字も加わりますが、あくまでも日本語を表現する発音だけなのです。
他方、発音はあいうなどの母音を中心に構成されて、話すのに難しくはありません。
でも、文章構文が欧米の言語と全く異なりますし、単語自体が未知との遭遇です。
このため、日本語が通じない選手や観光客向けに、一目で意味を分かってもらおう。
当時、ほとんどの日本人は英語が不得手だったはずで、こうなったら絵文字で勝負。
つまり、文字の文章で表現する代わりに、視覚的な図案で表現することにしました。
まあ、言語に制約されなくても、内容の伝達を直感的に行うのが、目的なのです。
それこそが、コミュニケーションの壁を越えて、当時の日本人と外国人を取り持つ。
こうして、競技種目は、体のシルエットをデザインしたピクトグラムが採用されました。
実を言うと、これがオリンピック史上で初の採用になったのですが、これぞ日本です。
以降、大会エンブレムと同様に、開催国を象徴するピクトグラムが使われています。
札幌オリンピックのピクトグラム |
今見ても、感動するポスターのデザイン |
一方、自分が開催の年に住んでいた、札幌での冬季オリンピックも傑作でしょう。
表現したい概念を、単純な絵として表現する技法に、徹底的にこだわっています。
どれをみても、ウインタースポーツの特徴をシンプルに、表現して分かりやすい。
特に、バイアスロン競技は、距離スキーを履いたまま、射撃する姿勢が秀逸です。
ところで、日本には家紋も存在していて、今日まで息づいている固有の文化です。
古くより出自といった自らの家系、家柄、地位を表すために、用いられてきました。
紋所(もんどころ)や紋とも呼ばれますが、二万近くの家紋が確認されているそう。
日本人は、昔から意味や目的を、絵柄に象徴化する創意の才があるのでしょう。
国旗の”日の丸”の絵柄でも、平安時代の扇子に、既に描かれているといいます。
つまり、日本は象徴化のピクトグラムの世界でも、先進国であり続けたというわけ。
他方、日本人は、表意文字の漢字も使い続けてきたので、形で意味を見ますね。
漫画、劇画、アニメだって、日本人のお得意とする具象化は、世界をリードします。
これが、オタク文化の輸出につながり、コスプレだって自己表現のピクトグラムかな。
しかも、非常口マークの走り出すピクトさんも、ISOのお墨付きになっていました。
国際標準化機構ですから、世界標準なので、色々な国の公共施設で見かけます。
というわけで、外国のスキーヤーが増えている日本のゲレンデも、安全は重要です。
このために、黄色い三角形の安全に関わるピクトグラムをスロープで、よく見かけるのですが、これについては、次回の投稿に譲るとして、識字率の低いインドなんか、国政選挙の投票権まで、政党別にアイコンで分かるように識別されているなんて、世界のあらゆるところで、ピクトグラムは活躍しているというところなのでした。
おまけ:ゲレンデの安全標識だよ!
いいねと思ったら、二つポチっとね!
0 件のコメント:
コメントを投稿