2019年2月25日月曜日

IT会社の役員だから、その辺の事情は知っているのだろうけど、暇つぶしに駄文を書いて受賞するのはやめてくれ - ニムロッド(上田岳弘・第160回芥川賞)

Nimrod

ご存知の通り、二月と八月は、芥川賞・直木賞の文学賞月間に様変わりします。
ただ、この二ヶ月は”にっぱち”と言って、商売で売り上げが芳しくありません。

八月は、夏の暑い季節の最中、消費者の購買意欲も減退するといわれています。
それに、帰省など旅行シーズンと重なって、お金の使い道が異なるのでしょう。

一方、二月は年越しの準備や、正月休みでお金を使いすぎて息切れしたのかも。
まあ、寒い冬だから庶民は、暖房の効いた部屋に閉じこもりがちだと思います。

もし、これが法則性に沿うというのなら、流通、建築、音楽産業がそうみたい。
ただ、二月は、バレンタインデーのおかげで、チョコレートの消費が伸びます。

年間の二割程度が消費されると言うのですから、当てはまらないのもあるんだ。
夏のマリーンスポーツ、冬のウインタースポーツは、逆に書入れ時だからなあ。

それでも、商売が生業の人は、この”にっぱち”を肌で感じているからでしょう。
やっぱり、商売上がったりだと思っているらしくて、出版業界もそうだったの。

戦前、月刊”文藝春秋”の編集長、菊池寛が、この時期の売上挽回を狙いました。
もちろん、小説家芥川龍之介もこの雑誌に投稿したし、菊池寛とは友人でした。

一方、直樹三十五は、当時の文壇ゴシップ記事を投稿したりで文藝春秋に貢献。
そこで思い出の二人を記念して将来性のある作家に賞を送って作品を掲載する。

そんな話題性で始めた文学賞でしたが、目論見通り作家の登竜門となりました。
それで、今年もその季節がめぐってきましたが、何と受賞作を知っていたんだ。

どうしてかというと、NHK第一ラジオの朝の番組で紹介されていたからなの。
毎週、土曜日の朝七時前に放送される”著者からの手紙”と言うコーナーでした。

それが二月三日のことだったのですが、寝床の中でうつらうつら聞いてました。
覚えているのは”ニムロッド”と言うタイトルで、確か英国の哨戒機だったはず。

小説では、主人公が、メールでダメな飛行機として紹介された一機なのですな。
このニムロッドこと、登場する荷室さんも、ダメ出し飛行機を紹介し続けます。

なんだか分け分からん小説だと寝床で思ってしまったけれど、芥川賞をゲット。
この後、実際に文藝春秋を買って読みましたが、現実性の薄い空間がつまらん。



あまりに面白くない小説で、三分の二を読んだところで自分でジエンドにした。
ビットコインの発掘を稼働率の低いサーバーで始める所は、面白かったけどね。

だけど、今や仮想通貨のセキュリティーは無防備・無策と判明してしまった。
だから、砂上の楼閣みたいな現実感覚で、蜃気楼みたいな小説にしか思えない。

いや、話を面白くしたかったら、Gacktが広告塔だったスピンドルはどうかな。
華々しく触れ回ったワリには、運営がずさんで数百分の一にまで価値が下落ね。

俺だったら、主人公が恨んで、関係者を一人ずつ探して殺戮を繰り返す設定だ。
この方が、スキャンダラスで社会性もあったりして、終いには犯人が自殺する。

それとも、出川哲郎のCMで有名な、仮想通貨取引所コインチェックはどうだ。
ハッキングされて、数百億円分が引き出しされるという強奪事件があったよな。

信頼性が現在の金融インフラよりも高いといわれたブロックチェーンなのにさ。
こちらも、ネットで履歴をあぶりだして、犯罪者を一人ひとりぶっ殺して行く。

最後は関係者まで血祭りにするとか、実名は無理としても似たような名前でね。
というわけで、糞みたいなSF私小説よりも、昨年の”百年泥”の方が格上だよ。

昨年度下半期の受賞作ですが、過去と現実を行ったり来たり、タイムスリップしたりしながら、進撃の巨人に登場する”立体機動装置”に似た交通手段で通勤するインド人たちの姿こそ、SF感覚にあふれていて面白さで一気呵成に読みきったのですが、今回はにっぱちで商売に期待しただけでご指名したという、ハズレの芥川賞だったなと思ったのでした。



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