当然、退出する際も照明を消さねばならず、それほどお客さんが少ないのかな。
まあ、山梨県の早川町は、最寄り町から一本道で他の自治体へ抜けられません。
つまり、袋小路のどん詰まり奈良田の集落なので、バスなら一時間以上の道程。
舗装道路でも谷あいに沿ってクネクネ運転せねばならず、それだけ交通が不便。
なので気安く訪れる分けにもいかないのでしょうが、それでも温泉旅館がある。
入館券は、隣にある古民家のカフェ”鍵屋”で買い求めましてて、六百円也です。
山岳写真家で高名な白幡史郎さんの作品を展示していますが、なぜか早川町。
ただ、南アルプス白峯山脈に属する農鳥岳を直接に登るには、ここが出発点だ。
この奈良田から歩き出し、千メーター以上を稼いで、大門沢小屋で一泊します。
それから、頂上まで一気に登り詰めますが、自分は別ルートから登頂しました。
熊の平小屋からトラバースして、濃鳥小屋で幕営して西農鳥岳経由でアタック。
そんな登山だから、このルートを知らず、今回は雰囲気だけを味わいました。
加えて、ここから北岳登山のベース、広河原まで道路が通じているのも事実。
ただ、マイカー規制の県道だから、別ルートのバス乗車で行くしかないんだ。
だけど、白幡史郎さんは南アルプスの写真を多く撮影しており、立地は当然か。
何れにせよ、南アルプス山麓の町に、その山塊を撮影した写真家の取り合わせ。
しかし、これほど高名な写真家の展示館なのに照明を自分で点けるのが寂しい。
写真を鑑賞しましたが、美しい海外の山岳写真が多いのに南アルプスが少ない。
やっぱりお膝元なんだから、南アルプスの雄大な写真に入れ替えて欲しいなあ。
そんなことを思いつつ、展示館を後にして、共通券の郷土資料館も訪ねました。
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それで、こちらでも入館者が館内の照明を点けて見学するのが、ルールでした。
平坦な耕作地が見いだせない山間の集落ゆえに、焼畑農耕に関する説明がある。
この焼き畑農法は、岩波新書のある一冊を読んで、内容は多少知っていました。
「稲作の起源を探る 」というタイトルで、焼畑で陸稲を栽培していたようです。
でも、南国の宮崎県で行われていた焼き畑の記録なので、北にある山梨は無理。
しかも、早川町は標高が高くて、この資料館ではヒエアワの栽培とありました。
本の説明にもありましたが、焼畑は自給自足が目的で食糧を調達することです。
このため、収穫の少ない焼畑だと、換金作物にするには経済的に見合いません。
山林の傾斜地は人手に頼るしかないし、機械化やら合理化など論外な話かもね。
自然の生態系を巧みに利用した合理的な農法だけど、衰退は避けられなかった。
というわけで、展示された焼畑農耕用具は、国指定の重要有形民俗文化財です。
何れにしても、今回の旅行は、それなりに自分に蘊蓄を深める旅になった分けでありまして、これから何時か、農取岳をアタックするときは、この奈良田ルートからチャンレンジしてみたいと、思ったのでした。
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