”けんじんのたき”と読むのですな |
雨畑の集落を過ぎて、ほどなく運転して行くと、この見神の滝が見えてきます。
町を貫いて流れる早川に合流する雨畑川にある滝で、意外な見ごたえなんだ。
滝が二段になっており落差は数十メーターほどですが、少し水量がか細いかな。
言い伝えでは、二段目の滝壺に金が隠されているので、若者が挑戦したらしい。
ただ、断崖絶壁のために全て失敗したというのですが、この滝壺が印象的です。
一旦、滝壺に流れ落ちてぶつかった水流が、溢れながら落下するのが面白い。
こういった変化のある滝は見とれますが、それより下流のダム湖が摩訶不思議。
せき止められたダム湖は、溢れん限りに土砂が流入して貯水が殆どありません。
途中、湖に注ぎ込む沢に橋が掛かっていましたが、橋桁まで土石が押寄せます。
砂防ダムすら無い沢で、自然のまま、任せるままに土砂が流れ込んでいたんだ。
もっとも、このダムは灌漑用ではなくて発電用で、堆砂は構わないんだとか。
それでも、土砂が勝手放題に堆積した風景は荒涼として不気味な気もしました。
まあ、町全体の河川流域は急峻な地形で、水害対策で砂防事業の対象です。
沢筋の谷間を車で走れば、崩落の激しい箇所も見かけたり、断層が多いのかな。
そう言えば、早川町の川沿いに糸魚川-静岡構造線の断層帯が通り抜けます。
しかも、新倉の内河内川左岸は、国指定天然記念物の逆断層が露出するの。
正直に言いますが、説明看板と駐車場があったとしても一見では分かりません。
これを見たさに地質マニアがやって来ますが、至高のオタクポイントでしょう。
それでも、高尚なネーミングのジオパークで教育や観光に活用する目的はある。
地理的定義だから地域に根ざした町おこしプログラムで、この構造線もそうだ。
糸魚川のエリアで登録されていますが、残念、早川町は設定されておりません。
ならば農鳥岳の山麓だから、南アルプスのジオパークが該当するかと思います。
ところが、これにも当てはまらず、折角、天然記念物に指定されたのに悔しい。
本来、南アルプスは大体が中央構造線の大断層に沿って出来上がっています。
つまり、異なる構造線なので、早川町は、ちょっと逸れてしまっているのね。
この南アルプスは多くの自治体に囲まれますが、似たような露頭も存在します。
村立だけど地理マニア垂涎の博物館 |
早川町の河川と同じく、流れに沿って中央構造線が走っているということです。
しかも、大鹿村は、高峰、塩見岳などの登山の出発点で、これも早川町と同じ。
北川と安康の露頭とで、日本の地質百選・国の天然記念物にもなっていますよ。
更に言えば、どちらもしょっぱい塩化物泉の温泉が湧き出しているのが瓜二つ。
太古の昔、海底が隆起した時に、海水が地層に閉じ込められたからでしょうな。
それが、今の時代になって湧き出して、体が温まる名湯になっているのです。
というわけで、農鳥岳に至る登山の縦走は、ここ大鹿村から出発したのでした。
塩川小屋までバスで行き、ここから日本で最も高い三伏峠にたどり着いて、塩見岳、農鳥岳、間ノ岳、北岳と連続で登頂したのが懐かしい思い出でもあり、今回の早川町の旅で、それを思い出させてくれたことが、楽しい旅になったのでした。
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