2021年10月2日土曜日

あんまし演奏されない作品を、商売上、自分のレパートリーに加えておくのも必要な話だと思った ー バイオリン協奏曲イ短調(Iver Holter)

   
ラーギン・ヴェンク=ヴォルフさんという女性のバイオリニストを知りました。
知るきっかけは、ノルウェーのイーヴェル・ホルテルという作曲家の作品です。

バイオリン協奏曲ですが、ノルウェーと言えばグリーグが一番有名な作曲家だ。
両名とも、同時代に同国の音楽界で活躍していたため、作風も似通っています。

グリーグのピアノ協奏曲は特に有名ですが、このホルテルの作品も同じイ短調。
特に緩徐楽章のロマンスレントは、グリーグの作風と瓜二つに聞こえてしまう。

もし、最近見つかったグリーグのバイオリン協奏曲と偽っても、面白いはずだ。
クラシックファンでも、ふむふむ、なるほどと頷いて聞くほどに、似ています。

それで、この作品がどうして有名になっていないのか、不思議なほどの佳曲だ。
演奏時間の長さも二十数分あり、メンデルスゾーンの作品並みでそん色はない。

ご試聴は、こちらをクリック

ソリストにもそれなりの技巧が求められる感じで、最近ハマってしまいました。
加えて、第一楽章の出だしがホルンのフレーズで始まり、これが北欧っぽいな。

だから、CD録音も多いのかと思ったら、このラーギンさんのしか見当たらない。
自分はユーチューブで聞くだけなのですが、アップの音源も一つということだ。

彼女は、米国のバイオリニストだそうですが、日本ではあまり知られていない。
しかも、録音している作品が、きわめて変化球で、日本では無名な作品が多い。

ユリウス・レントヘン - Julius Röntgen (1855-1932)
ヴァイオリン協奏曲 イ短調
ドヴォルザーク交響楽団

エルネスト・ショーソン - Ernest Chausson (1855-1899)
詩曲 Op. 254.
ドヴォルザーク交響楽団

イェネー・フバイ - Jenö Hubay (1858-1937)
ヴァイオリン協奏曲第3番 ト短調 Op. 99
スロヴァキア放送交響楽団 

このホルテルのもそうなのですが、上記ではショーソンの作品が多少の知名度。
ただ、ホルテルだけ共演が英国ロイヤルフィルハーモニーで、知られているな。

何れにしても、録音したレーベルは、知る人ぞ知る作曲家の作品が大半でした。
なので、彼女は、人口に膾炙した作品をわざと避けて録音している感じもする。

まあ、ベトコン、メンコン、チャイコンをリリースしたって、ライバルは多い。
演奏活動にも技量を比較されてお呼びがかからないようでは、商売上がったり。

だから、無名でも秘曲と呼ばれる作品はあるはずで、その演奏で売りにしたい。
そうすれば、音楽プロモーターからもお呼びが関わる分けで、活動も広がるな。

というわけで、ラーギンさんの選曲は、マネージメントの作戦では勝利だろう。
こうして、自分自身も、ユーチューブからホルテルの協奏曲を発見できて楽しんでいるわけですから、これに続いて、彼女が録音した作品を見つけながら、自分なりの秘曲発掘を楽しもうとするのでした。



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