自分の勤めている会社に、この四月、燃料電池自動車トヨタ「 MIRAI(ミライ)」が納入されました。
このミライは、水素充填が約三分で済み、 走行距離も約650kmですから、 ハイブリッドカーなみの給油いらずという手軽さがあります。
ただ、水素の燃料代がまだ高いため、 ガソリン価格1リッター分に換算すると、14~ 15キロぐらいの燃費になります。
つまり、水素は、 燃焼すると水に変わるというクリーンなエネルギーですが、 庶民の感覚でいえば、 現段階ではコストパフォーマンス的にはエコカーには及ばないかも しれません。
本体価格は、税込で723万6000円。
販売目標は、発売から1年間で400台。
ただし、 エコカー減税と自動車グリーン税制による減税分を加えると、 合計で約225万円になり、 実質的に500万円弱で購入することができるみたいです。
一方、水素ステーションについては、 JX日鉱日石エネルギーが2020、 平成32年までに国内10拠点で水素を生産し、 販売面では主要な約二千店を対象に順次、 導入すると報道されました。
では、どうして、日本では、 エネルギー政策で水素を推進しているのでしょうか?
実は、 ノーベル賞受賞者が新しい科学技術開発の提唱をしたからなんです 。
2010年(平成22年)、日本人で鈴木章さん・ 根岸英一さんのお二人が、ノーベル化学賞を受賞しました。
受賞業績は、 化学物質の合成反応方法であるクロスカップリングの開発です。
翌年(2011年)、この根岸さんは、物質を作る方法として、 人工光合成こそ次世代の技術であって、 日本が世界に先駆けて実用化すべきだと、 国家プロジェクトの立ち上げを強く訴えました。
この「人工光合成」では、光を使って水を水素と酸素に分解し、 水素をクリーンエネルギーとして利用するプロセスが、 産業化できるとして有力視されました。
これを経済業省も支援して、産官学が連携した研究プロジェクト、 「人工光合成化学プロセス技術研究組合」が発足しております。
ちなみに、この根岸さんですが、 自分の発見した合成方法では特許を申請しませんでした。
特許を取得しなければ、 我々の成果を誰でも気軽に使えるからと考えて、 半ば意識的にそうしたのだそうです。
そのせいか、東北大震災で起こった福島第一原発事故に関しても、 週刊誌にこんな批判的なコメントを載せました。
原発に頼ることをやめるべき.....。 東大の先生は東電に買収されています。
そうすると公平にものを言えなくなる。
だから、絶対に買収されてはいけません。
私は買収されていないから、 どこでも何に対しても自由に発言できるのです。
これを考えると、人口光合成による水素生産は、 資源の乏しい日本に対して、未来を託すエネルギー産業として、 根岸さんは、常々考えていたのだろうと思うのでした。
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