北山さん、教祖様みたいだ |
このトライアングルは、職人でもない素人の北山さんが趣味で作った楽器です。
子供の頃から色々な道具を打楽器に見立てて、叩いて音色を出しまくっていた。
そんな風変わりな性格の彼が、製作するきっかけは実にシンプルなものでした。
伝説のトライアングルの音色を聴いたけど、事前に期待しすぎていたのだそう。
感動もあまりなく、自分でそれを超えるトライアングルを作りたくなったとか。
楽器の構造は単純ですから、先ずは素材巡りで楽器を製造する工場を巡り歩く。
こうして、発見したのが青銅の素材で普通の銀色の正三角形のフォルムと違う。
三角なのですが、微妙に直線部が内側にへこんでいて、しかも叩き出しのまま。
この鈍い金色に輝く楽器を叩くと、音のキラキラが見えるかのごとく響き渡る。
ただ、工場がある分けもなく、近所の公園で素材の棒を加工しているらしいよ。
完全手作りで納品まで二年待ちなのも、プロのオーケストラ御用達だからです。
来日中のフランスのオーケストラが、展示中の楽器屋で見つけたのが始まりだ。
北山トライアングル |
しかも、この展示は無理やり頼み込んで飾って貰っていたというのが真相です。
だから、本人は自信があったのかもしれないが、手工芸だし見た目も悪いんだ。
いずれにせよ、ヤマハの楽器も真っ青なトライアングルが出現したというもの。
となれば、何も表面がツルツルな工業製品で無くてもよいということになるな。
ところで、このブランドは、ウイキペディアでメーカー一覧に紹介されていた。
これから探し当てたのですが、目的はこの楽器をよく使うクラシック作品です。
自分もクラシック音楽が好きなので、ある程度、使われる作品は知っています。
スメタナの交響詩モルダウとか、ドボルザークの瀬品世界の第三楽章とかそう。
それで、最近聞いたリャプノフの交響曲2番第四楽章でも効果的に使い方だな。
なので、面白くて調べ出したら、楽器の意図的な使用はリストの作品からです。
ピアノ協奏曲一番の第三楽章では、わざわざ独奏まで用意されているほどだよ。
このため、トライアングル協奏曲と揶揄されますが、ユーチューブで視聴可能。
天才アルゲリッチの動画がリストアップされるほどで、その演奏が特徴らしい。
他にブラームスの交響曲4番第三楽章でも、高揚感のある演奏で盛り立てます。
ハンス・ロット |
そして、極めつけはまだ日本では馴染みのないハンスロットの交響曲一番だな。
作曲家マーラーの音楽学校時代の旧友で、本人は精神を病んで夭折してしまう。
その原因が、コンクールに持ち込んだ作品が大作曲家の軋轢でけなされたとか。
当時、作曲家ブラームスとブルックナー(ワーグナー)には対立がありました。
まあ、取り巻き連中が革新ワーグナー派対保守ブラームス派で派閥争いをする。
こんなもの、今となってはどっちもどっちですが、当時は大まじめだったのよ。
その中で少しブルックナー側に組した彼は、ブラームスに手ひどく批評された。
それが若い彼に耐えられなかったのか、弱冠二十五歳で生涯を閉じてしまった。
うーん、今となっては罪作りな大作曲家達だなと、罵ってしまいそうになるな。
というわけで、トライアングルを効果的に使用する彼の交響曲は、日本初演が平成16年とまだ十数年前のことに過ぎず、この作品を聞くとブルックナーとワーグナーを一粒で二度味わえるような大作ですから、この際、皆さんにもぜひ楽しんでもらいたいと思ったのでした。
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