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原生花園(げんせいかえん)は、人の手が入っていない自然のお花畑かつ草原です。
自然がそのままの状態で、色鮮やかな花が咲く草原とはいえ、実は湿地帯なのだ。
過去にも、雨竜湿原や松山湿原を取り上げましたが、これらは山岳地帯にあります。
一方、原生花園は、平野部の広大な草原をさすものが多くて、北海道が中心です。
内地(本州)にも、栗駒山麓に世界谷地原生花園がありますが、少し趣が違います。
なので、基本的に○○湿原と名乗ることも多く、言葉の定義では北海道が独占です。
北海道ですと、オホーツク海沿岸を始め、道東・道北にかけて多く分布しております。
その内、網走国定公園の小清水原生花園が、初めて全国的に有名になりました。
このため、原生花園が一般化して、他の地区もイメージアップで名乗り始めたのです。
そうすると、名前倒れのものも増えそうな気がしますが、北海道民は生真面目でした。
自治体もプライドを持って、評価に値しそうな草原だけに絞って命名して来ております。
中でも、小清水はすばらしいのですが、父親が連れて行ってくれた思い出が懐かしい。
わずか五歳の頃、汽車の中でお弁当を食べたりして、先ず小清水駅を目指しました。
駅からそばが、すでに原生花園の始まりでして、ピーカン照りの青空がまぶしかった。
子供なので何の花かは分かりませんが、花が草原に咲き誇っていた思い出なのです。
だから、自分のイメージ的には、この網走原生花園こそが、言葉の定義のベースです。
だから、一度たずねたいと思ってきた中で、今回はベニヤ原生花園を訪れてみました。
場所は浜頓別町ですが、すぐそばには白鳥の飛来地で有名なクッチャロ湖もあります。
道立自然公園に指定されております |
コガネギクとヒョウモンチョウ |
クサフジって花なのね |
エゾカワラナデシコは可憐 |
湖はラムサール条約の指定区域なのですが、この原生花園は残念ながら区域外です。
だからといって、お花畑の価値が減るわけでもなく、湿地帯自体は、隣り合っています。
これを分断するかのように国道238号線が北上していきますが、これは近代の産物。
だから、未開の頃、このエリア全体が湿地帯で、生態系も維持されたのだと思います。
こうして、ベニヤの原生花園は、そのまま残り、季節を迎えれば花々が咲き誇ります。
でも、国道で行く手を阻まれた動物たちは、注意して横断しなければなりません。
実は、クッチャロ湖の北にある半島みたいな森林には、ヒグマが住んでいるらしい。
クマの生態は、オスであれば、約十キロ四方の面積が行動範囲になるともいいます。
となれば、ここからベニヤの原生花園までは、距離は数キロしか離れていないのです。
このため、簡単に異動できるのですが、クマもちゃんと左右を見て国道を渡るようです。
目撃例も頻繁にあるため、町役場に報告されて、警戒情報も発令されたりします。
ただ、迷惑なのは、原生花園でして、クマが出たぞとばかりに、散策路が通行止めに。
海外に沿ってお花畑の中を三キロ程、周回する遊歩道が歩けなくなってしまいました。
花の鑑賞が台無しですが、かろうじて歩けたのは、ビジターセンターからの直線路だけ。
たかだか五百メーターの距離では、東京ドーム70個分の雄大さが少しも分かりません。
一面が、お花畑に変わるのなら、ぐるり歩きたくなるもので、非常に残念な気もしました。
テレビニュースの映像から |
さて、ビジターセンターに戻り、係員の女性に花の名前で雑談したら、驚いていました。
意外に花の名前を見知っていて、松山湿原も訪れたことが、興味を引いたようです。
帰りがけに、わざわざ、ハクサンチドリが咲いていると言って、案内までしてくれました。
道路脇の土手に入って草を押し分ければ、白い可憐な花がのぞかせてくれるのです。
この花は、内地なら亜高山帯の花で、北陸にある白山に咲くので、その名があります。
白い花なのでシロバナハクサンチドリらしく、ここ、道北まで来れば平地に咲いている。
冷涼な土地柄だなと思いつつ、やがて、クッチャロ湖に飛来する白鳥を思い出しました。
というわけで、北海道のクマは、道路に出現する始末でして、今になっても憎たらしい。
しかも、季節が八月の後半ともなれば、花の咲く季節も締めくくりを迎えつつあり、ハマナスやギボウシがかろうじて楽しめた程度ですから、今度は、ノハナショウブが咲き乱れる最盛期の七月に、捲土重来、改めて見参したるわいと、思うのでありました。
おまけ:
花園を縫うように川が流れます |
指定された通行範囲が短い! |
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