石川雲蝶は、幕末期に活躍した木彫師で、新潟県内に多くの作品を残しました。
その中で、西福寺の開山堂にある彫刻群は、畢生の大作としてつとに有名です。
自分がその寺院を知ったのは、駅貼りの観光ポスターで、彫刻が衝撃的でした。
住職と元関取の舞の海が立ち並ぶ中で、天井一面には圧倒的な彫刻が写ります。
まあ、そのポスターに魅せられて、十年以上も前に、拝観のために訪れました。
その時、お寺に近隣で彼の彫刻が残されているのか、念のため問合わせました。
すると、近くに永林寺があり、天女の彫刻がとても有名と教えてもらいました。
そして、寺の方から拝観できるのかどうか、親切に電話をしていただきました。
その時、相手からは事前に予約が必要らしく、その時は諦めざるをえなかった。
なので、この永林寺は、次回の旅行の楽しみとして、大切に温めてきたのです。
まあ、テレ東の番組「新・美の巨人たち」でも、西福寺が紹介されていました。
改めて思い出したのも当然で、なるべく永林寺に行こうと心が急かれたのです。
そして、奥只見湖の紅葉を鑑賞しようと考えていた頃でもあり、お手は近いな。
同じ魚沼市にありますので、引き返したのですが、小一時間もかかるドライブ。
カーナビ通りで、平成の大合併で自治体も大きくなったのが、良く分かります。
到着して分かったのは、拝観時間が夏期は夕方四時までと意外に短いことです。
午後の二時頃でしたから、まだ時間もありましたが、事前に調べるべきだろう。
お寺は本堂がメインで、そう大きくはありませんが、その彫刻群が素晴らしい。
パンフレットを見ると番号順に彫り物が紹介され、見落とすことはありません。
中でも、必見の彫刻は、天女が雅楽を奏でつつ舞う姿で、これが艶めかしいの。
だって、羽衣を纏っているとはいえ、背中をさらしている天女が二体もいます。
なかなかにエロイなあと思いつつ、壁面の木彫りという枠からはみ出ているな。
というわけで、雲蝶が「日本のミケランジェロ」と例えるのも、至極当然だな。
実は、阪神淡路大震災の前日、ピアニストの羽田健太郎が本堂にピアノを持ち込んで、この天女を後ろにして演奏している姿がテレビで中継されたのですが、ご本人もこの天女に痛く感銘を受けたというのを西福寺の方から聞いていたので、やっと出会えたという気持ちで一杯になったのでした。
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