釧路で、今夏の仮住まいは、明治期のイコン女性画家だった”山下りん”の作品を鑑賞することだった。場所は、中標津町上武佐にある、この協会なのだ。十年前、訪ねたら扉は閉められており、事前の申し込みが必要なのを後になって知った。今回は、捲土重来なのである。それで、釧路のハリストス教会へ見学の電話依頼をしたら、管理担当者の連絡先を聞いて、やっと見学を受け入れてもらった。
私が、山下りんを知ったのは、若桑みどり著”女性画家列伝”だった。その後、教育テレビの日曜美術館でも紹介されたし、山田五郎氏のユーチューブ動画”【日本初のイコン画家】なぜキリストの絵に漢字?【山下りん】”でも紹介された。明治期に単身でロシアにわたって、イコン画を修行したのである。
実際の山下りんが描いた祭壇画は、ギリシャ正教のイコン画における描画の制約があったとはいえ、描写は素晴らしい。エルミタージュ美術館で、模写をしたというが、卓抜なデッサンの努力の跡がしのばれる。
祭壇中央のイコン画では、中央左右の二枚が山下りんの真筆だと言われている。並んでいる他の絵よりも、はるかに出来が素晴らしいと思う。秋田県大館市にある北鹿ハリストス正教会曲田福音聖堂に掲出されている作画のイコンも素晴らしいが、ネットで検索された画像を見るよりも、実際のイコンは臨場感があり、感銘を受けた。
中標津町の上武佐地区には歴史的建造物として「旧土田旅館(北村家住宅主屋)」が残されていた。見学の趣旨でお断りしようとして、玄関から声をかけたが応答はない。人が住んでいる気配がしなかった。北海道の駅逓制度は、開拓当初、鉄道網が未発達の地域で、旅人の宿泊や、運送、郵便の役割を担った施設であり、宿場だったということだ。

















