上さんのマンションは、新北市に所在しますが、台北市とは目と鼻の先でした。
その境界には蛇行する景美川が流れており、河川敷が美しく整備されています。
高層階の部屋から近辺を見下ろした景色を眺めるのですが、一つ気づきました。
それは、蛇行する河川が囲むように、小高いこんもりした森が残されているな。
その周辺は既に住宅開発がされていて、低層のマンションが立ち並んでいます。
高くてもせいぜい十階くらいでしょうか、茂みの残る丘は見通せて意外に高い。
グーグルマップで調べてみると、土地公と説明しており、お社もありそうです。
それで、面白いので朝早く起きた日に、上さんと一緒に散歩がてら歩きました。
最初、向こうへ行くのに人道橋があると思いましたが、勘違いだったようです。
見間違えていたのは、高い堤防へ降りる階段のようで、少し遠回りをしました。
大きな道路橋を渡ってぶらり散策しますが、堤防の下はサイクリング道路です。
堤防自体は歩道で、河川敷は運動広場と、意外に設備がしっかりしていたんだ。
住民も健康目的で散歩していましたが、運動広場のどん詰まりには野犬の群れ。
夜中に寝ていて、野犬の吠える声が聞こえたのも、ここからだと分かりました。
それで、蛇行する川に沿った高い堤防を少し歩いて、そこを降りる道に入った。
ほどなくしてすぐの所に、福徳宮という看板のある階段の取り付きに入ります。
その先に中国風お宮があって誰かの世話なのか、お線香がともされていました。
由来の詳しい看板書は漢文なので分かりませんが、三人の世話人も書いてある。
だから、地元の人が大事に世話をしている土地神さまなのだと一目瞭然でした。
それで、複数体の安置された神様は小柄で、昔は小さな廟だったのでしょうか。
何せ康熙帝とか乾隆帝の文字も読めたので、建立はかなり遡れると思いました。
上さんの話だと、道路の拡幅工事から、別の場所からここに合祀したようです。
そのため、お宮の建物も立派なにあり、散歩がてらのお参りは気持ちが良いな。
というわけで、この廟には土地への愛着と恩恵への敬意を表す連句があります。
「土地は各家庭を豊かにし、地は金を産み、各家庭は繁栄する」、「土地は皆の利益となり、土地にいる者は皆安泰」と書いてあるのだそうで、そういうことであるのなら、短期間でも年に二回はここで寝泊まりをしますから、家内も旅の安全も見守ってもらおうと思うのであれば、ここへお参りに来るのは当然だなと思ったのでした。