かの地では、二週間以上の滞在者であれば、公設図書館で本を借りられる。人生の半分以上を内地で暮らすようになった道産子としては、地元がもっと知りたくて、その手の本を借りてしまうのであった。
札幌在住の小説家、小桧山博は、道北の滝上町の出身だ。現在は、鹿追の神田日勝記念美術館館長ということだ。エッセーなので気軽に読める。実家は、とにかくの貧農だったらしい。今の農家を見ると、四代五代と続けば、蓄財もできるということなのだろう。中学時代の同級生は、フェースブックを通じて、父の友人で偲ぶ会の実行委員長もやっていただいたとのことだ。
全集も亡き父の書斎にあったけど、家ごと売っちゃってもう何もありません、とは少し残念に思う。彼の言葉によると、村長の息子からいじめられ、貧農から新聞記者になり、小説家に至った波瀾万丈な人生ということである。
日本のフランス料理の第一人者、三国清三氏、増毛町出身の出身だ。37年続いた「オテル・ドゥ・ミクニ」を閉じ、ぼくは70歳で新たな夢を実現すると述べた本を、図書館で借りて読破した。やはり、あそこまで料理人の境地に達するには、人の及ばない努力があったのだろうと思わざるを得ない。
内地に戻る前までに、この小説を読み終えた。主人公は、ギリシャ正教のイコン画家、山下りんだ。そのイコンを有する中標津町上武佐にある正ハリストス教会を拝観したこともある。まあ、二週間以上の滞在者には、図書の貸し出しができる釧路市図書館には、感謝したい。しかし、明治政府が殖産興業を掲げて、工部美術学校を開学し、女子の画工を育成するため、生徒を募集したのは驚きでしかない。

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