この山は、深田久弥の日本百名山の一つですが、標高はさほどありません。
海抜千七百メーターと、東北の中では、比較的高度のある山塊でしょうか。
そして、この山が人々に知れわたっているのは、智恵子抄があるからです。
この作品は、詩人高村光太郎が、妻千恵子の死を看取った後に発表しました。
”あどけない話”という詩の中では、この山が象徴的に登場するのが印象深い。
そのせいか、文学好きなら、実際に見たことはなくても、山の名を知っています。
一方、登山家も、百名山ゆえ、山頂を目指したくなるのは、当然だと思います。
この登山口ですが、普通は山麓のあだたら高原スキー場から出発しますな。
しかも、あだたらエクスプレスという観光ゴンドラがあって、ショートカットもできます。
標高差で四百メーターを一挙に運んでくれますので、一時間半の節約でした
ただ、運行が八時半からと少し遅いので、早めに登頂したい時は帰りにどうぞ。
それで、自分の場合、少し遅めにスキー場に到着したので、はじめにしました。
三十分前から並んだのですが、既に先客が三十人以上も列を作っております。
運行が始まった頃には、後ろに百人以上の乗客が列を成していて驚きました。
やっぱり、人気の山だなと感じつつ、先ずはゴンドラの空中散歩を楽しみました。
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ところで、このゴンドラは、昔は、冬場もスキー場の索道として運行していました。
それが三年前からは、スキーシーズンの運行を取りやめてしまっているのです。
どうも、稼働率が低いので、お客様に迷惑を掛けたくないからのが理由らしい。
冬季は30%台になって、三日に一日しか運行できないという驚きの低さです。
これはどうしてかというと、施設された索道の方角が原因だからと思うのです。
なぜなら、山麓駅から山頂駅まで東から西に設営されているのが、ネックです。
冬場ですと、北あるいは北西の方角から強い風が吹き込みやすくなります。
まともに索道に風が当たりやすいので、ゴンドラは風で揺さぶられてしまうのだ。
自分の経験では、このような時、ゴンドラにバランスウエイトを乗せていました。
自重を重たくすれば、風の動揺を抑えられますが、それにも限界があります。
まあ、TV番組の天気予報で、西高東低の冬型の気圧配置とか説明します。
よく聞く言葉ですが、西に高気圧が張り出し、東側に低気圧のある状態です。
こんな時、勢いよく北から冷たい寒気が流れ込み、日本海側は雪になります。
こうなると、スキー場にとっては神の恵みで積雪があるのですが、風も強い。
このスキー場だって雪は恋しいのに違いありませんが、風だけはいただけない。
だって、強い風が吹きすさんで、ゴンドラが運転できなくなってしまいますから。
ゴンドラ待ちの登山客 |
まあ、どっちを取れといわれれば、経営から見れば、もちろん積雪も欲しい。
だって、ゲレンデ整備に、金掛けてスノーマシンを動かす必要もなくなります。
一方、このゲレンデは、地理的には太平洋に向かった東側の斜面にあります。
地理的には、会津地方より雪が少なくなりますので、雪は待ち遠しいのです。
となれば、強い冬型の気圧配置で北風が吹いて吹雪になった方がいいのか。
それに、頂上駅から降り口のゲレンデが、中級コースで初心者には手厳しい。
全体のレイアウトがファミリー向けなのに、頂上から降りられないのは変ですね。
勢いで山頂まで上がっても、尻込みするようなら運転しないほうが適当でしょう。
というわけで、観光ゴンドラの運転だけで、十分に使命を果たしている感じです。
もともと、山麓には千年以上の歴史を持つ岳温泉が控えておりまして、温泉保養地として十分な観光価値がある分けですから、たかがスキーぐらいで冬場にあえて無理して運行する必要もないのだろうなと、思うのでした。
おまけ:
すばらしい秋空でした |
活火山だと納得の噴火口 |
自然遊歩道の滝めぐりも美しい |
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