2016年12月16日金曜日

産卵のために遡上する魚も、鮭とは限らずにチョウザメなのが、この偉大なる北海道なのである - チョウザメ記念館・美深温泉(北海道・美深町)

   
大学の卒業までは札幌市民でしたので、カムバックサーモン運動をよく覚えています。
市街には、南北に貫くように豊平川が流れていて、終端で石狩川に合流しました。

この石狩川は、鮭が遡上すると河として有名でしたが、豊平川は支流だったのです。
ただ、札幌の都市化が激しくて環境汚染も著しく進んだため、鮭も遡上できません。

もちろん、夕張炭坑の選炭による洗浄汚水を、石狩川に垂れ流したせいもあります。
川の水がどす黒くて、子供心に、こんな子汚い川に戻ってくるのかと、思っていました。

つまり、北海道は大自然がまだ残っていると思うのが誤りで、環境破壊は進みました。
なので、札幌市民も遅ればせながら、鮭にかこつけて運動が始まったと言うわけです。

当時、酒造会社がスポンサーになって、タイトル入りの焼酎まで発売されていました。
テレビCMもあって、俳優で活躍中の石原良純さんが出演していたのを覚えています。

学生でしたから、友達と酌み交わす時には、この手ごろなお酒にお世話になりました。
今もユーチューブで検索するとコマーシャルが見られますが、相手は秋吉久美子です。

まあ、この焼酎ブランドが「純」だったので、引っ掛けで良純さんを起用したのでしょう。
一方、テニスをしている女性のスコートが、動きでめくれてパンツが見えてしまいます。

それをグラス片手ににやにやする良純さんなのですが、想定はカップルなのでした。
正式は、パンツではなくアンダースコートなのですが、昔の公序良俗は結構エロイな。

お色気モノですが、今なら、放送したくても良識ある視聴者が、黙っていないでしょう。
一方、放流された鮭の稚魚も、二十二万匹まで増えて、三十年以上になりました。

こうして、例年、鮭はカムバックするようになり、千匹以上の遡上が確認されています。
でも、人工孵化の稚魚を放流したとしても、産卵できる河川が改善したのかどうか。

秋になって、産卵しようと豊平川を遡上しても、産卵場所をうろうろ探す鮭が現れる。
そんな新聞記事を見かけるようになりましたが、河川の美化も大切だということです。

こうして、水質もさることながら、河川そのものの状態がはるかに改善されてきました。
その結果、自然に回帰する天然ものの鮭が増えてきたでのあれば、嬉しい限りです。

そうであれば、放流するより、野生魚によるライフサイクルを確立したほうが適当かも。
自然の摂理にかなっているというべきで、そうでなければ、逆に悪影響になるでしょう。

だから、人工孵化による稚魚の放流を、昨年から六割以上も削減し始めたのです。
ある意味、運動の消滅を喜ばなくてはいけないのでしょうが、これも一つの節目だな。

ところで、産卵のために河川を遡上する魚は、別に鮭とは限らないのが北海道です。
例えば、チョウザメなんかもそうで、ただ、北海道の種類はキャビアをはらみません。

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チョウザメ飼育の歴史は古い

有名なカスピ海産とは異なり、ダウリアチョウザメとミカドチョウザメの二種類です。
かつては、石狩川、天塩川、十勝川等で、悠然と泳ぎ生息していたということです。

もちろん、漁獲されて、札幌の庶民の台所、二条市場でも売られていたといいます。
この他、天塩川の流域ではアイヌの人が食べていましたが、とても美味なんだとか。

漢字で魚へんに皇の字を当てますが、中国では皇帝に献上された由来からです。
そのいわれから漢字が作られたようですが、おいしくなければ献上されませんよね。

ヨーロッパでも、昔は、戴冠式や王族の宴席でチョウザメ料理がふるまわれました。
ロイヤル・フイッシュと呼びならわして珍重されたほど、キャビアより大切だったのだ。

それで、北海道に生息していたミカドチョウザメは、どうも絶滅してしまったようです。
これも、経済開発による河川改修やら、水質悪化の環境汚染などが原因らしい。

一方、天塩川でこのチョウザメが奇跡的に捕獲されたニュースが、記事になりました。
これも、カムバックサーモンのように、川の環境が改善されたから戻れたのでしょうか。

そう言えば、天塩川の流れる道北の美深町に、チョウザメ館という施設があるのです。
かつて、この町では、水産庁の肝いりで積雪寒冷地でのチョウザメ飼育を始めました。

場所は、天塩川が残した河跡湖の三日月湖で、記念館の近くで放流されています。
ただ、この河川に生息していた種類ではなく、ベステル種というハイブリッドなのです。

異なる種類を掛け合わせた人工的な種ですが、もちろんキャビア採取が目的です。
それに、繁殖力も強く環境に対応できることから、事業化にうってつけだったようです。

こうして、事業化を目指し、この種で養殖を始める人々が全国に増えていきました。
既に出荷も始まって、地域起こしブランドとして有名になったのは、先ず宮崎県です。

宮崎チョウザメ、宮崎キャビアと単刀直入のネーミングでも、立派な宮崎ブランドだな。
こうして、事業化の軌道に乗せた地域もある一方、天然遡上の美深町はどうなんだ。

実は、チョウザメはキャビアが採卵できるのに8~10年も掛かり、成長が遅いのです。
こうなると、北海道の美深町は寒冷地ですから、飼育上、気を使うこともあるでしょう。

一方、宮崎県は九州で温暖場所で、ベステル種と違うシロチョウザメを飼育しました。
チョウザメも種類では温帯に生息する種類もあって、そちらが扱いやすいのでしょうか。

となれば、内地で養殖する方が成功するかも知れず、だったら美深町はどうしましょう。
でも、そこで事業に取り組むスタッフ達の大いなる野望こそ、生態系の回復なのです。

つまり、天塩川にまたチョウザメが棲息してくれるようになるのが、野望なんだそうです。
いつか、天塩川に体長一メートル超えのチョウザメが、悠然と泳いでいる姿を見たい。

こんな野望なら、カムバックサーモンより、カムバック・チョウザメでウエルカムですね。
というわけで、北海道の自然環境回帰に、このチョウザメも一役買ってもらいたいのだ。

この夏、美深町では、びふか温泉に立ち寄って湯に浸かってまいりましたが、休憩する広間には、大きな水槽の中に一匹だけチョウザメが泳ぎまわっているのを見かけたりして、ああ、ここはチョウザメの飼育で有名になった町なんだと、改めて思い出す中、道産子の自分としては、南国宮崎より本来の生息地を強く応援したい気持ちになったのでした。


おまけ:
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