採取した種子は、何の花か分かりません |
シードハンター(種子採集人)という聞きなれない専門職が、海外にあります。
その昔、大英帝国では、海外探検に必ず宣教師と博物学者が同行しました。
宣教師は布教が目的でしょうが、博物学者は植物の種子を持ち帰ることです。
ヒマラヤや、中国の奥地など世界各地から、さまざまな種子が採取されています。
こうして、その種子の一部が、現在の園芸植物の基礎になっていると言うのです。
なるほど、種子は時空を越えた大いなる遺産ですが、植物自体は移動できない。
もし、種子が軽いのなら、綿毛が付いて風に飛ばしてもらい、繁殖地を広げます。
一方、食べられる果実の種子は、鳥や獣に食べられて、糞で排泄してもらえます。
動物の行動範囲の分、糞に残された種が遠くまで運ばれて、繁殖が広まります。
その他、学童の学校帰り、投げ合って衣服にくっ付けた「ひっつき虫」の種子です。
アーモンド状で先端が小さい鍵状のとげに覆われており、動物の毛に取付きます。
これで、他力本願とはいえ、遠くまで運んでもらおうとする素晴らしいアイデアです。
まあ、種の保存のために、植物も知恵を絞って進化したと思わざるを得ませんね。
でも、どうしてそんなことを思ったのかというと、自分もそのシードハンターだから。
今住んでいるマンションの周りは住宅街ですが、向かいには市民の森もあります。
そして、通勤の道順には、住民が大切にしている花壇も多くて、花が豊富です。
タネの採取ポイントなんだな |
四季折々に咲いてくれる花を愛でながら、朝に夕なに自宅を往復するのですよ。
それで、自分でもベランダで育てみることはできないものかと、思案し始めました。
ならば、咲き終わった花は種子を作るだろうから、これを採集することにしました。
ところが、種も色々な種類がある訳でして、種が吹き飛んでしまえば後の祭り。
綿毛のようなものも付いていたり、花の房も時間を掛けて、観察してみました。
ところが、芥子粒のように細かい種子の花があって、どれが種だか分からない。
枯れて乾きあがった花の房を、頃合を見て採集して、紙の上で叩いて見ました。
すると、本当に細かな種が落ちてくるわ、でもこの花は地下茎で増えるようです。
ネットで調べたら、多年草で越冬するとあり、種を飛ばす必要も無いのでしょう。
地下茎を伸ばして繁殖場所を広げていくのは、時間もかかりますが実直ですな。
ホタルブクロ、内地へ来るまで見たことがない |
タカサゴユリ、台湾原産ゆえ北海道は無理か |
それがホタルブクロという花だったのですが、北海道では自然に咲かない花です。
内地の横浜に住みだしてから始めてみた花でしたが、タカサゴユリもそうです。
だって、観察していると、連日、気温が三十度近くに上昇して、初めて咲きます。
北海道でも園芸用なら栽培できるかもしれませんが、原産は台湾と暑い地域。
寒冷地では生育が無理と思うし、地下茎で増える植物だって苛酷な環境です。
浅い土壌なら簡単に凍結してしまいますので、根が持ちこたえられないはずだよ。
というわけで、またもや北海道で見ることも無かった花と種子に出合ったのでした。
おまけに、採種した種子と花を紹介してみますが、身の周りで咲いている花々にしても、こんな種子ができるのだという驚きが湧いてきたりして、にわか素人のシードハンターであって、自身の生活に楽しい色取りを与えてくれる花々に、感謝したくなるのでした。
おまけ:種子の写真に出てくる棒は、お線香で大きさを比較するためです。
バレンタインというヒマワリのようで小粒 |
オニユリ、ムカゴは葉にある時からヒゲ根が |
ゼニアオイ(訂正)、風で飛ばないうちにゲット |
アガパンサス、種があまりに小さくて育つのか |
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