川合玉堂 "雲龍図” |
日本でも、龍は神格化した存在としておなじみですが、起源は古代中国です。
漢字で書くと、冠をかぶった蛇の姿を表しており、本来は竜が原字に近いとか。
かつて、中国の揚子江に生息していた鰐の姿を、象ったものと言われています。
その後、鰐は絶滅してしまい、爾来、想像の世界で生き残るようになりました。
それを考えると、ワニの体形を見れば、竜がオリジナルだというのは分かります。
それから、様々な模様や装飾が加えられて、字形は威厳を持ち始めたのかな。
まあ、神格化した中国の龍は神獣、霊獣であり、皇帝の象徴でもありました。
一旦、シンボルとして扱われたのなら、おごそかな字に変貌したのも納得です。
ところが、共産党支配の中国では、簡体字の採用で、「龙」が用いられました。
画数が少なくて無学者にもすぐ書けそうな字ですが、何と粗末な字でしょうか。
そんなことを思うと、現代の中国は、かつての支邦(シナ)ではないのでしょう。
漢民族を象徴した所産である繁字体を捨てた民に、もはや龍は不要なのか。
清王朝の国旗”黄龍旗” |
ブータン王国の国旗(雷龍) |
ならば、この字を人名漢字に採用している日本へは、ぜひご動座いただきたい。
昇竜のごとく天に登り、そして、豊葦原の瑞穂の国、日本へ降臨していただく。
そんな風にも思いますが、想像の龍は、古くより決まった姿で描かれてきました。
龍のひげもそうですが、持っている玉、龍玉(りゅうぎょく)も必ず描かれますね。
そういったワンパターンで描かれているのに、龍の水墨画は色々と見ると楽しい。
画家の想像する伝説の龍達は、あたかも自在のように空を舞うかのようです。
そして、そんな美術作品ばかりを集めた展覧会が、現在、開催中なんですわ。
場所は、茨城県の天心記念五浦美術館で、期間は26日までと残り少ない。
観覧して来ましたが、出展作品を描いた画家を、意外に見知っておりました。
だって、テレビ東京の「お宝鑑定団」で紹介されていた芸術家がかなり多いのだ。
中でも、小堀鞆音、この人は武人の動きを描くために、武具まで自作しました。
鎧や兜の構造、機能を分析して、武士の本当の動線を描きたかったらしいよ。
小堀鞆音、経政詣竹生島 |
確かに、出展作は、紐で結わえた大袖の描き方が、非常にリアルで納得です。
番組でも、武具がこまごまと並んだ、当時のアトリエ写真も紹介されていました。
それから、鮎を描いて右に出る者なしと謳われた絵師、小泉斐の龍もあります。
お宝鑑定団では、真作だと鑑定されましたが、本人の作品は始めて見ました。
この他、横山大観、小林古径、下村観山、菱田春草など、何れもおなじみ。
それも、鑑定団で紹介された画家ばかりなので、なおさら、愛着も湧きました。
というわけで、想像の動物なのに、画紙や画布の上で龍が躍動しておりました。
ところで、来日したアメリカのトランプ大統領は、今や安倍 晋三首相を信頼して、かれの提唱するアジア外交、安全保障の政策を踏襲、支持しているわけですが、これぞ、我が日本国が再度、昇龍になり始めたきっかけかも知れず、そういう時期だからこそ、この展覧会を見に行くべきなんだと思ったのでありました。
おまけ:
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