中国の実験核融合炉 |
ここで、エネルギーを考えてみる。(常温核融合に落としたいわけ。)
市井の人々は、エネルギー、エネルギーって普通に言葉を使っているけど、本当に意味が分かって使ってるんだろうかって思う時がある。簡単に言うと、エネルギーは「物体が持つ“仕事”をする能力」のことを差していて、電気エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギー、光のエネルギーなどたくさんの種類があるらしい。
お百姓さんが大事に育てる作物には、光の恵み=光エネルギーが一番重要だ。日本はまだ緯度が高くないから、お天道様は、季節に応じて、真上からさんさんと光を万物に降り注いでくれる。しかもこれはタダ、これが重要だ。日中は気温がぐーんと上がるし、植物の光合成も充分にはかどる。タダより安いものは無いし、自然の恵みと思って我慢することも出来る。この他に、水田や畑を耕す上で耕運機を動かすの燃料を使う必要があるんだけれど、これはエンジンの中で燃料を燃やしてその爆発力を運動に変える工程があり、熱エネルギーから運動エネルギーの変換になる。これは、金が掛かるね。換金作物を収穫するには、その燃料の費用を上乗せして元を取らなきゃならないから、このようなコスト計上は必要だろう。
ではなぜ、こういったエネルギーを作り出す素の石油は、値段が付いて上昇するんだろう。光エネルギーなら、タダだけどね。光は勝手に注いでくれるけど、石油は掘らないと地中から汲み上げられない上に、工場で加工してガソリンとか軽油とかに分留・精製するためにカネと時間が掛かってしまう。しかも、掘り尽くしてしまうかも知れない恐れがあるから、市場に不安感が出てきて、買占めのような現象がおきて価格も跳ね上がってしまう。今の社会で、エネルギーを作りだすのに必要な資源は、薪や炭に始まり、石油、石炭、ガス、原子力までと千差万別なんだけど、お金を払って買わないといけないのは共通している。
環境破壊のソーラー発電所 |
この内、石油は動力エネルギー源、石炭・原子力は電気エネルギー源、ガスは熱源、のようなエネルギーの使い分けになるだろう。光がタダなのにエネルギー源として使いづらいのは、雨や曇りでお天気しだいでは安定して取り出せないし、他のエネルギーに転換させる時、経費がより多く掛かってしまい、効率が悪いことにあると思う。例えば、どんなに大型の太陽電池パネルで、金を掛けて作って発電させても、生み出せる電気エネルギーの量・コストを比較すれば、石炭・原子力の方がはるかに安い。唯一、タダのエネルギーで価格が見合いそうなのが、自然の力に頼った水力・風力なんだが、天候・季節の風任せ・雨任せなんで供給が安定しないし、量も小さい。
結局、エネルギーを作り出すには、簡単・便利に入手でき、蓄積でき、しかも安い原料と言うのが手っ取り早く使われていて、それとエネルギーに変換しやすくて使いやすい方法を効率的に経済的に組み合わせようとして、人間様はこれまで知恵を絞って来たんじゃないかと思うわけだ。
単純に言えば、原料が手っ取り早く入手・使えなくなれば、その値段は上昇する。近年の石油価格の上昇がこれにあてはまるんだが、これだけ原油価格が上がれば、これまで価格的に見合わなかった代替できる燃料のコストも見直され、実用化してくる。例えば、農作物を原料としたエタノール、地下深く水圧で掘り出すシェールガス、深海に眠るメタンハイドレード、原油がしみ込んでいて処理に金のかかる油母頁岩なんかがそうだ。こんな、イタチごっこが人類の歴史で繰り返されてきただけじゃないのだろうか。そう思うのですよ。
森林を伐採しすぎて木炭が無くなって石炭に置き換わる、石炭より燃焼力が高くて液体だから持ち運びの簡単な石油に置き換わる、産油国に原油価格を吊り上げられたんで、国産資源の安価な天然ガスに置き換わる、などなど....
もっとも、二酸化炭素ガス排出で地球が温暖化しているから、自然エネルギーを有効活用せよなどという、バカな政治家もいるが、エネルギー出力は小さいから、みんな江戸時代の生活に戻らざるを得なくなるのが、分からないのだろうか。
常温核融合の実験装置 |
こういった諸点を鑑みて、自民党総裁選で高市先生が開発を提唱された核融合に関して、異端の常温核融合という研究は、今までの説明からすれば、未来のエネルギー源として位置づけできるものなのだろうか?
核融合の燃料となる重水素と三重水素は資源として地球上に豊富にあるから、もし制御された核融合が高温でも実現できれば、人類は恒久的なエネルギーを今すぐにでも得ることができるなんて、夢のような錬金術的な表現をする人もいる。ただ、理論的に裏づけがなされて採算の取れるエネルギー源になるには、かなり先のことだろうと、自分は思わざるを得ない。一方、亡くなった阪大荒田名誉教授が公開で行った常温での実験は、かなり昔だが、再現性の高い追試可能な実験を紹介することに主眼が置かれていたのにもかかわらず、現在でも研究は思うように進んでいないのが実情なんだ。
固体核融合と言う中立的な学術用語が日本学士院でも堂々と使われているように、この研究に真面目に取り組むこと自体は文句の付けようがないと思う。実用的で社会の利益となるような手法・技術が確立され、それが全人類にとって安いエネルギー源の調達につながるのであれば、誰も文句は言えなくなるだろう。
みなさんは、どう思われますか?
もし、固体核融合の研究を邪魔して現在のエネルギー覇権・利益を維持したいと考える国家・特定の権益組織があると言うのなら、陰謀論を研究していただいてもいいのですが、中国が荒田先生の研究に資金援助をしていた事実を考えると、当たってなんぼの世界なんだから、研究はやってみる価値があるだろう。現に、アメリカでは、常温核融合の特許が取得されている現状なのだから。
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