本当であれば、この寺から嵯峨野めぐりの一日旅を始めるつもりだったのです。
ところが、駅のタクシー乗り場でタクシーを待っても、一向に空車が来ません。
待っていても時間の浪費かもしれないと踏ん切りをつけて、予定を変えました。
まあ、単純に逆方向で観光地巡りをしてしまうと、このお寺が最後になります。
だから、後はタクシーでも呼ぼうと、予定を変えて常寂光寺へ歩き出しました。
結局、あだし野念仏寺まで歩き通しましたが、そこから更に歩くだけのお話だ。
小一時間はかかりそうですが、ここまで歩いたのだから、もうひと頑張りです。
このお寺は、普通、一般拝観はお断りしていますが、紅葉の季節だけ違います。
十日に満たない期間だけ開放していて、隠れた名所としても知られているんだ。
その拝観のできる時期が、偶然、今回の旅行の日程と重なってラッキーでした。
それで、このお寺を知ったのも、グーグルマップで寺院を探していたからです。
マップの縮尺を上げながら、訪ねたい寺社のアイコンをクリックしていきます。
画面内には、その場所の情報が表示されていきますが、紹介される写真も多い。
だから、紅葉の季節が美しければ、その風景の写真が取り上げられていました。
そして、直指庵は、観光ナビやガイドのホームページが引用されているんだな。
つまり、観光で取り上げられる価値のある、一度は行きたい観光地なのでした。
一方、これに比べて、その前に訪れていた”あだし野念仏寺”は、知名度は高い。
古来、この一帯に葬られた人々のお墓が、長い歳月を経て無縁仏になっていく。
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| あだし野念仏寺 |
こうして、山中に散在していた数多くの石塔が明治期に境内へ集められました。
でも、あだし野自体は、鎌倉期の随筆、”徒然草”の第七弾にも登場しています。
この地名は、”無常の野”の意味で、人の世のはかなさを象徴すると言われるな。
だから、知名度もあるし観光地としては高名で、異人の観光客が多すぎなのだ。
しかも、撮影は控えろと寺側が注意するのに、無縁仏の墓地内で撮影している。
彼女を連れ込んで写真を撮っているのですが、霊が取り付いても自己責任です。
拝観受付で、”PRE-WEDDING NO PHOTO”と書いてあったのが読めないのか。
というわけで、ミステリードラマに登場する念仏寺より直指庵の静けさが最高。
それで、この界隈では大覚寺も観光名所としては名高く、京都市営バスの終点・起点になっているほどで、市内の中心地からは比較的出かけやすいのですが、そんなところから歩いて15分ほどのところで、紅葉の隠れた名所、直指庵のあることこそ、さすが京都観光の奥深さを感じたのでした。


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