これが葛の花だったのだ |
毎朝、会社までテクテク歩いて通勤なのですが、途中、土手沿いの道を歩きます。
カワセミの棲息している、いたち川が流れていますが、反対は切り立った崖地です。
実を言うと、付近はバイパスの道路工事をしており、この土手道も改良されました。
元来、この道はもっと低かったのですが、鉄骨で嵩上げされて歩きやすくなりました。
しかも、路面は水ハケが良くてざらついているので、雨天でも滑ることがありません。
欄干も両側に取り付けられて、実に便利になりましたが、他に楽しみも増えました。
それは、二十メーター程度の切り立った崖の中腹を、この道が通っているからです。
以前の通り道だと、かなりの崖下なので、上部に繁茂する植物は、分かりません。
ところが、毎日歩いて通う内に、色々な植物が生い茂っていると気づいて来ました。
それが、ツタやツルを這わせる植物だったのですが、これが沢山の種類に驚きです。
ヤマノイモ、オニドコロ、カラスウリ、ヘクソカズラに加え、最近出合ったのは、この花。
冒頭の写真にあるように、赤紫色の花が房状になって咲いていたのを、発見です。
まあ、見つけたというより、路面に花びらがたくさん落ちていたので、気がつきました。
頭上を見上げたら咲いていたわけで、気になりましたので、先ず写真を撮ります。
路面に落ちていた花びら |
通り道の全景 |
これがあれば、好きな時にネットで画像検索をしながら、花を見比べられましょう。
ただ、特段に珍しいというほどのものでもなくて、自宅の周辺でも見かけています。
特に、金網で囲われた空き地などで、旺盛なツルを伸ばしながら、咲いております。
だから、月並みな植物だと思いましたが、頭上から垂れ下がって咲くのは風流です。
ちょっと、興趣も湧きましたし調べてみましたが、これがクズだとは知りませんでした。
漢字で書けば葛になり、乾燥させた根は、生薬の葛根(かっこん)として使われます。
風邪薬の葛根湯(かっこんとう)が最も有名ですが、自分も常用する薬の一つです。
もちろん、くず粉は、元来、この植物の根に含まれるデンプンから取られていました。
つまり、食用の植物が、こんなに身近で繁殖しているとは、気が付きませんでした。
一方、この崖には、食用になるムカゴの出るヤマノイモ(自然薯)も生えています。
ところが、このクズは、つるを伸ばして広い範囲で根を下ろすので厄介な植物らしい。
北米では、有害植物かつ侵略的外来種として指定されるほどで、エイリアンだよ。
活発に駆除が続けられているとありましたが、あそこの崖地なら、安住の地でしょう。
昔から、地主さんがあの小山を手放さないでおりますので、ツル植物の天国だな。
というわけで、なんだか、横浜に住んでいるのがウソみたく思えてくる土地柄でした。
最近、残念なことに、土手道の欄干に巻きついていたつる植物などは、区役所の除草作業で刈り払われてしまったので、実にこぎれいでこざっぱりとしてしまい、毎朝の地味目な植物鑑賞を楽しむには、いささか、繁茂したツルの迫力が減ってしまったのを、寂しがる自分がおるのでした。
おまけ:和歌や俳句にも詠まれております
「ま葛原 なびく秋風 吹くごとに
阿太(あた)の大野の 萩が花散る」
万葉集 作者不詳
「梨棗(なつめ) 黍(きび)に 粟(あは)つぎ 延(は)ふ葛の
後も逢はむと 葵花咲く」
万葉集 作者不詳
「葛の風 吹き返したる 裏葉かな」
高浜虚子
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