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世の中にオタクという人は、数多くいるものですが、 ゲレンデにも出没しております。
何を求めさまよっているかといえば、 それがリフトやゴンドラの索道なんですね。
皆さん、鉄道オタクはご存知でしょうが、 索道オタクはなじみが薄いでしょう。
でも、乗り物好きの究極は、 ロープウェイを含めた索道だという人もいるぐらい。
他方、 廃墟オタクは廃ガソリンスタンドオタクにたどり着くケースもある みたいです。
となれば、自転車ツーリングオタクは、 しまいに一輪車ツーリングに落ち着くのか。
そんなことはないでしょうが、 自分もスキー場へ出かける内に興味を惹かれました。
特に、リフト待ち一時間が当たり前だった頃、 並んで待てばすることもありません。
次第に乗り場に近づくにつれて、ぐるぐる回ってくるイス(搬器) も気になります。
しかも、高速クワッドですと、 速く回るワイヤーから搬器が外れて減速します。
日本ではデタッチャブル・リフトとよんでいますが、 訳せば分離式リフトになります。
英語でちゃんと書けば、Detachable Liftになりますが、一方クワッドはどうなのか。
Quadと英語で略して書き、四つのことを意味しますが、 正式にはQuadrupletです。
ただ、発音がややこしくて、クアドルプレットでは、 舌をかんでしまいそうです。
このため、仕様や機能になぞらえた商品名を指して、 クアッドを用いる事例も多い。
現に、スポーツ用品メーカーのミズノは、 ゴルフシャフトにQUADと名づけました。
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こうして、このの四人がけリフトは、 スキー客もあわてずにしっかり乗れるわけです。
他方、搬器をロープに固定したリフトは、 初心者は意外に失敗して転んだりします。
秒速にして2メーター程なのですが、一方、 クワッドは秒速4メーターとかなり早い。
搬器に腰掛けるためには、 移動速度を固定式以下にまで落とさねばなりません。
自分は、技術系ではないのですが、 このメカニズムにとても興味を持ちました。
しかも、メーカーごとにデザインに工夫が見られて、 違いも見受けられたりします。
それで、冒頭のカタログは、 索道メーカーに依頼して送ってもらった戦利品です。
送ってもらえたのは、次のメーカーなんですが、 皆さん親切にしていただきました。
① 日本ケーブル(会社案内)
② 安全索道(会社案内・各種リフト・設置実績リスト)
③ 東京索道(会社案内・各種リフト)
④ 樫山ダイヤモンドリフト(っ会社案内・各種リフト・ スノーマシン)
⑤ 三菱重工(会社案内・スノービジネス各種)
①~③は伝統的にリフトの老舗的なメーカーですが、④と⑤ は後発でした。
スキーブームの頃、スキー場開発がラッシュ状態で、 索道の需要も増えます。
このため、リフト・ゴンドラのタイプやらメーカーも、 スキーブームに乗って増えました。
しかも、大量のスキー客をゲレンデさばくために、 高速リフトも主流になります。
特に、三菱重工業のYanリフトは、 アメリカのデザインで考え方が大きく違います。
リフトエンジニアリング社と技術提携したことで、 日本へ新機軸がもたらされました。
カタログを見ると分かりますが、 握索装置と搬器のタイヤ式押送装置が特徴的です。
まず、握索装置は、 搬器が高速で移動するロープから脱落しない工夫が必要です。
グーグルドライブはこちらから 全ページご覧ください 握索装置の拡大写真が秀逸 |
ガッチリ離さないグリップ力なのですが、 ヨーロッパ製はコイルバネを用いました。
事務用品の目玉クリップもバネ仕掛けで締めますが、 原理的にはよく似ています。
そして、 山麓駅と山頂駅で高速ロープから搬器を脱着する構造が欧米で違う のです。
ヨーロッパ製は、握索装置のローラーが、 ガイドレールに乗って減速し移動します。
この移動では、 握索装置が爪の付いたチェーンにひっかけられて流れる分けです。
これを押送装置といい、 Yanではタイヤを使用しており雰囲気が異なりました。
このクワッドですが、ヨーロッパ製の機械的な騒音が、 あまり感じられません。
握索装置がゴムタイヤで送り出していくので、 意外に静かだったように思います。
そして、握策装置に使われるバネがコイルに代えて、 ゴム製スプリングでした。
ウイキの説明では、"marshmallow"、 マシュマロと書いてあり、弱かったのでしょう。
実は、ここら辺のデザインが、後年、 死亡事故を伴う致命的欠陥だと判明しました。
時は平成7年、カナダ・ウィスラースキー場で、死者2名、 負傷者8名の事故です。
原因は、索道が緊急停止した際、 その反動で搬器がずれて隣に衝突したとあります。
もっよひどいのは、 ロープから外れて斜面を転がり落ちたような記述もありました。
よほど握策のグリップ力がなくて、 これではマシュマロといわれても仕方ありません。
結局、会社自体は翌年に破産してしまうのですが、 当然の成り行きなのでしょうか。
というわけで、三菱重工の手になるリフトも、 すでに他社製に切り替えられています。
当時、三菱重工はレジャー産業の分野で活発に事業を展開し、 目玉はスキーでした。
実際、リフトやゴンドラなど索道事業向けに、 導入事例のカタログも作られています。
ビジネスチャンスだったとはいえ、 この米国発の技術が撤退の引導を渡したみたい。
他方、Yanブランドの創設者、Jan K. Kunczynski氏もスキー業界ではすでに過去の人になって しまったようですが、ネットで英語検索してみると、 本人の伝記がそれなりにまだ紹介されており、 この会社が業界で一時代を築いていたのは事実だったのだと、 改めて思うのでした。
おまけ:
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