ニックネームは、”シャコちゃん” (JR五能線木造駅) |
土偶を見ると、元祖ゆるキャラとかフィギュアの源流かもしれないと思います。
その姿形も、極端にデフォルメされて表現されていて、想像を掻き立てられます。
あまりに特徴的で印象的だから、象徴的な命名までされたりする土偶もあるのです。
”縄文のビーナス”や”縄文の女神”というのは、正に典型的なニックネームでしょう。
そして、似たような土偶が多数出土されたりすれば、そのタイプが分類されます。
遮光器、ミミズク、合掌、猫顔などさまざまですが、お気に入りは遮光器なのだ。
亀ヶ岡遺跡の土偶なんか、宇宙服そっくりで古代宇宙飛行士説まで出る始末。
昔の話ですが、民法の番組では、空飛ぶ円盤(UFO)を特集で放映していました。
特に日テレの矢追純一ディレクターが制作したのでは、この土偶が随所に現れます。
お墨付は、宇宙考古学を提唱したエーリッヒフォンデニケンなる眉唾のスイス人。
まことしやかに、古代から宇宙人が飛来して文明を伝えて来たと吹聴するのです。
バラエティーの乗りなんですが、おどろおどろしいBGMで視聴者を煽ったりしてね。
確かに、この遮光器型と呼ばれる土偶は、突出しているんだけど、他は違います。
恐らくは、人間(特に女性)を模したり、精霊を表現しようとして作られたのでしょう。
まあ、ミミズクやら猫顔だったりと、縄文時代の人はイマジネーションが豊かなのだ。
世界的に見ても、こうした土製品は、新石器時代の農耕社会で作られたようです。
乳房や臀部を誇張した女性像も多くて、縄文の土偶もそうで、豊作を祈ったのか。
通常は、農作物の豊饒を祈る地母神崇拝の人形と解釈されることが多いみたい。
縄文のビーナス・仮面の土偶 どちらも国宝に指定されたんだ! |
国宝の合掌土偶・縄文の女神 何を祈っているのだろうか |
加えて、女性像には、妊娠時に腹部に現れる正中線も特徴的に描かれています。
これを考えると、モデルになった女性もいたのではないかと、思えて来るんだよなあ。
それで、仮面をかぶった土偶もあるのですが、これは安産を祈った儀式だったのか。
そして、こういった土偶は、破壊されずに大切に埋められていたようにも思えます。
特に、縄文のビーナスと呼ばれる土偶は、確かにそれを裏付けるような出土でした。
まるで、安らかに横たわり、眠らされて埋められていたかのようにも思えて来るのです。
長野県茅野市の尖石縄文考古館に、当時の写真がありますが、ぜひ見てください。
実物の国宝も展示されているのですが、それよりもこの横たわった姿こそ印象的です。
従来の学説では、壊れた土偶の多いことから、故意に壊され破棄されたといいます。
出産の苦しみの身代わりに、無事に誕生すると叩き割る考えですが、本当なのか。
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そして、一部の遺跡で壊された土偶ばかりが出土しても、それが根拠なのでしょうか。
いや、この国宝に指定された二体の土偶こそ、埋葬されたような思いを感じてしまう。
実際、土偶には、修理に使われたとおぼしきアスファルトが付着したものもあります。
つまり、古くなって壊れても修理して大切に使っていたが、モデルの女性も亡くなった。
来世に旅立てば、精霊はもはや宿らなくなり、生れ変わる日まで安らかに眠らせよう。
というわけで、そんな夢想に導いてくれる、国宝に指定された二体の土偶なのでした。
茅野市は、蓼科高原に数多くのスキー場を抱える自治体なのですが、一方で縄文時代の遺跡も多数発掘されており、その成果がこの縄文考古館で見られるので、スキー旅行のプラスアルファとして、ぜひ訪ねていただき、縄文の人々の造形美に触れていただきたいと思ったのでした。
おまけ:
合掌土偶の人形焼もあるのだ! |
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