玄武岩の玄さん |
出石そばの名店、”輝山”の前を通り過ぎた時に、石像を見かけて撮影しました。
この手の石像は、ミッキーマウスやドラえもん等、街角で見かけたりもします。
特に、ご近所の建材店の駐車場には、ドラミちゃんがいつも座っているんだな。
会社の通勤で、市民の森の遊歩道を抜けますが、途中に必ず出会うマスコット。
ただ、誰がいたずらしたのか、頭部のリボンが壊されて、少しかかわいそうだ。
そんな石像を見かける日常ですが、この玄さんは、スキー旅行で発見しました。
この出石と言う町は、平成の大合併で豊岡市に編入された但馬地方の静かな町。
小京都と呼ばれますが、編入を受けた豊岡市自体は、明治以降に発展しました。
それで、この六角形の玄さんとは一体何者と思いましたが、玄武岩のことです。
このエリアには、玄武岩で天然に造形された柱状節理の”玄武洞”が存在します。
天然記念物に指定されていますが、実は石切り場の跡が洞窟になったものです。
柱状に亀裂の入った石材が断崖をなしていて、容易に切り出される地形でした。
このため、石材に活用されて、近くの城崎温泉の大谿川護岸に残されています。
思うに人工的に作られた洞窟とは言え、柱状節理の規模が大きかったからこそ。
玄武洞 |
青龍洞 |
残された柱状節理も広範囲で、玄武洞を中心に五つの洞窟に分かれております。
遊歩道を歩きながら、小一時間ほど見学しましたが、それぞれの趣が違います。
特に、砕石の跡に水が溜まって池となった青龍洞は、蛙の鳴き声が綺麗でした。
恐らく、カジカ蛙だと思うんだけど、二月の寒空に盛んに泣くのが不思議です。
池まで近寄ると泣き止みますが、離れると、又泣き出してくれて癒されました。
そんな玄武洞でしたが、命名したのは明治期の地質学者で小藤文次郎という人。
幕末の津和野藩に生まれて藩校養老館で学んだので、漢学の素養がありますな、
このため、玄武をはじめとして、東西南北を司る守護神の霊獣で名づけたんだ。
玄武、青龍、白虎、朱雀ですが、キトラ古墳など壁画古墳ブームの火付け役。
古代中国から日本へ伝えられた四神信仰により命名され、岩石の和名にもなる。
確かに玄武洞を散策しますと、厳かな印象を受けてなるほどと感じ入りました。
ところで、この柱状節理は、マグマが冷却して固まる時に起きる現象なのです。
先ず表面が冷却されて収縮すると、そこに亀裂や割れ目が作られると言う現象、
これが連鎖反応で広がって、六角形の柱みたく切れ目になると言うのが不思議。
伊豆辺りだと、断面の形状を指して六方石と呼びますが、四角形五角形もある。
そこら辺は、溶岩の冷え具合によるので、道産子ならば層雲峡を思い出します。
石狩川の上流部にある峡谷ですが、銀河の滝、流星の滝など、渓谷美が美しい。
まあ、日本は火山が多く、このような柱状節理の地形が各地に残されています。
日光華厳の滝も見られますが、間近で鑑賞できる造形美は、この玄武洞が一番。
玄武は亀の霊獣なのですが、甲羅の六角形になぞらえて玄武岩としたのかもね。
というわけで、この柱状節理が、太古の植物だったと主張する人もいて驚いた。
なんでも、アメリカ・ワイオミング州にあるデビルズタワーの 柱状節理(六角柱)断面と、植物の亜麻の茎の断面に見られる六角形 とが共通しているという根拠なんだけど、ミツバチの巣や雪の結晶に見られる自然界における六角形の形状を見ても、冷静に考えれば、植物以外にも六角形は身の回りにありきたりに見られることを示しているわけで、こんなデタラメ妄想動画をユーチューブで紹介するなと思ってしまったのでした。
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