2014年5月24日土曜日

底辺の広がらない運営​は自滅の一歩 - 野辺山スキー場(レー​シングキャンプ野辺山​) (長野県)

北越雪譜より、鈴木牧之著(1837年)

著者は、江戸時代の人ですが、知っていたのです。
雪が結晶となって、空から舞い降りてくるということをです。

これは、冬の季節に人々にもたらされる自然の贈り物でしょう。
結晶の一つ一つは、小さくて降り積もってもふわふわです。

正六角形を基本として、針葉樹のような枝葉がのびています。
このせいで、もし踏みしめたとしてもわずかな隙間が残されます。

こうして、雪の感触自体にはやわらかさが残るものです。
一方、ゲレンデに降り注いだとしても同じことを足腰で感じるはずです。

もし、天然雪だけでゲレンデがつくられていたら、滑ってどう感じるか。
降ったままの新雪ならフカフカだろうし、圧雪でも固さは感じない。

初心者が転んだとしても、やわらかいバーンなら痛さを感じないはず。
雪に親しみ、遊ぶ楽しさを覚えさせてくれるのは、天然のパウダーだけです。

昭和61年2月頃滑走

ところが、人口雪のゲレンデだと固くて往生した人も多いと思います。
自分も、この野辺山スキー場では、ガリガリの固さで難儀しました。

もっとも、日中は晴天の多い内陸地方なので気温も上がりやすい。
雪も、融けては固まるのを繰り返して行きます。

こうして、アイスバーンになりやすいのかもしれない。
でも、天然雪だとあれほど固くしまったような感じがしなくもない。

これは、やはり人口雪で作ったバーンなのだ。
滑ってみて、改めて納得させられました。

さて、このスキー場では、零度以上で人口雪ができるとPRしていました。
取材テレビで見たのですが、真昼時、ぶっといホースから雪が飛び出します。

雪というよりはザラメみたいに感じましたが、いわれればそうです。
これは、深夜番組でスキー場を紹介していたときの一コマでした。

今改めて調べなおしてみましたが、これは人口造雪機です。
アイス・クラッシャー・システム(ICS)とも言い、要するに巨大なカキ氷機。

氷を作って削って溜め込んで、雪モドキを圧送して降らせ積もらせます。
後は、圧雪車がゲレンデを整備してていねいにコースを完成させます。

でも、これって単なる滑りやすいコースを作る目的だけなんじゃないでしょうか。
たまさか、冬のスポーツだから擬似的な要素の雪を用意したまでです。

滑りやすい目的なら、高分子給水ポリマーの人口雪だってかまわない。
となれば、このスキー場には、天然雪の感触は元々無かったことになる。

ガチガチのバーンだからエッジを利かせないと、上手に滑り降りられない。
こんなゲレンデ、家族連れで来られるところではないでしょう。

他方、ポール練習とか、競技指向のスキーヤーだったら、腕の見せ所です。
いかにタイムロスを少なくして旗門を通過できるとか、うってつけでしょう。

それに、横に並んで三本のリフトも短くて、標高差はわずか二百メーターです。
反復練習には申し分ありませんが、長い距離を楽しく滑る雰囲気すらない。

ますますファミリー向けのスキー行楽客は遠のくというものです。
大体、基礎技術・競技スキーヤーの層などたかがしれています。

こんなリピーター層を相手にしても、スキー場に金が落ちるのかどうか。
やはり、先鋭化する顧客層より、ファミリーの大衆路線が大事でしょう。

こうして、将来の集客力が深読みできてしまうと、費用が賄えるのか。
ICSによる人口造雪では、結構コストも掛かるし、その負担が大きい。

しかも、耐久期間を過ぎたリフトの架け替えでは、あらたな投資が必要です。
結局、未来の採算が描ききれなくなったのかもしれません。

グーグルドライブはこちらから

もっとも、隣接するシャトレーゼスキー場は、お菓子の会社が運営しています。
客層として、お菓子=子供=家族の図式が見事に成立しているのでありました。

というわけで、近くには太陽電波観測所もありました。
パラボラアンテナの林立する風景は、まさにシュールなウリでもあります。

しかも、夏はゲレンデ上部がハイキングコースとして紹介されています。
なので、通年型のアイデアは無かったのかと残念に思う次第なのでありました。

太陽電波観測所のフリー素材

 
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