2021年4月3日土曜日

なぜ有名な作曲家は男性ばかりなのか 、男性中心の音楽史叙述を痛烈に批判した「女性作曲家列伝」という本があったのだが、そう思った ー バイオリン協奏曲 (Ina Boyle)

十九世紀は男性ばかり

テレワークになって、かなりの月日が経過しましたが、要するに在宅勤務です。
ネット通信が高速化してメールで仕事のやり取りも、もはや普通になりました。

これに拍車をかけたのがコロナの流行り病でして、週三四日は家でお仕事です。
普通の事務職なら、これが当たり前になってきましたが、営業職もそうですな。

しかも、営業マンもZOOMやGoogleMeetでお客さんとビデオ会議する時代ね。
そうなると、常識になった自宅のお仕事なんか、在宅だと寝間着のままでOK。

ただ、朝礼のビデオに参加するときは、上着だけ正装したりと実に気楽ですな。
後は、メールを読みながら業務処理をしますが、音楽を聴いたって構いません。

なので、ユーチューブから聞きたい音楽を掛けますが、クラシックが一番かな。
他にはジャズも聞きますが、ながら族でイージーリスニングを楽しんでいます。

それで、ユーチューブに聞いたこともないクラシック作品が紹介されています。
特に、女性作曲家の作品がかなりアップされていて、中には交響曲まであった。

交響曲はオーケストレーションが大がかりですから、専門教育が必要でしょう。
なので、女性も高度な音楽教育を受ける機会が、一九世紀からあったようです。

それで、女性が作曲した作品で、ピアノ協奏曲はあるのにバイオリンのがない。
これには理由があり、弦楽器を学ぶ音楽の門戸が、女性にはありませんでした。

   
ルノアール「ピアノの前の少女たち」

調べて分かったのですが、当時は、職業音楽は男性中心だったということです。
この頃、市民社会の成立で、演奏会も開催されてビジネスが確立していました。

演奏者の需要も高まって音楽学校の学生も増えますが、入学者は男性中心です。
ウイーン音楽学校の当時の統計では、女性は声楽部門の生徒に偏っていますね。

オペラという音楽劇には、女性声楽家のニーズもありましたから理解できます。一方、器楽部門の生徒は、オーケストラス楽器演奏者に向けた予備群でしょう。

こうそて、十九世紀、女性は職業演奏家として社会進出を果たしていなかった。
しいて言えば、一部の女性がピアニストとして音楽界で成功できたぐらいです。

作曲家シューマンの奥方、クララシューマンはその例で作品も残していますな。
ただ、小品が多いので、専門的に作曲をしていたわけでもなさそうな感じです。

要するに、女性は家庭音楽会のような場で、才能を披露するのが精一杯だった。
なので、音楽好きな家族内で楽譜を読んで、歌ったりピアノを弾いたりするの。

それでも、上流階級の子女は、音楽を専門的に学べる余裕もあったのは事実ね。
まず、クロアチアの作曲家、ドーラ・ペヤチェヴィチ (Dora Pejačević)がそう。

貴族出身の女性で宮殿みたいなお屋敷に住んでいたから、作風は後期ロマン派。
その階級がぴったりな感じで、大規模な交響曲やピアノ協奏曲も残しています。

これに対して、名を残した弦楽器の女性演奏者が現れるのは二十世紀からです。
同様に、女性作曲家がバイオリン協奏曲を発表し始めるのも、同じ時期なんだ。

自分の知っている限り、アイルランドの女流作曲家が1935年に発表しています。
アイナ・ボイル(Ina Boyle)と言う方で、ユーチューブで探して試聴したんだ。

伝記本が発行された(2018年)  
エニスケリー、終生の地
  
現代音楽風でもなく、日本人が聞くと何となく懐かしいメロディーに聞こえる。
そんな協奏曲ですが、本人はチェロを弾いていたので作曲ができたのでしょう。

彼女は、エニスケリーという美しい風景に恵まれた山村で、暮らし続けました。
生前に発表された機会も少なく、作曲を続けた動機が何だったのかと思います。

恩師の作曲家、ヴォーン・ウィリアムズは、いみじくも彼女をこう語りました。
”ほとんど知られることもなく作曲を続けるのは、とても勇気のあることだ”と。

まあ、これを契機に女性の作曲家が、バイオリン協奏曲を発表し始めるのです。
未だ無名に近いと言えますが、最近、アイルランドでは再評価され始めました。

というわけで、今やバイオリニストは女性が活躍する時代で、様変わりなんだ。
そして、女流バイオリニストの中では、二十世紀前半に活躍したルネ・シュメ―や、戦後、すい星のごとく現れたジネット・ヌヴーもフランス人だったのであり、さすが自由平等を求めたフランス革命の国ならではとも、思ってしまったのでした。



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