2021年6月2日水曜日

没後、全く忘れ去られたのに、少しずつ録音も出はじめたら、作品の再評価がされるようになったのは良いことだ - ピアノ協奏曲第1番(セルゲイ・ボルトキエヴィチ)

Sergei Bortkiewicz(1877 - 1952)
       
五月の連休は、コロナ禍のおかげで自宅にこもったまま、クラシック音楽三昧。
特にユーチューブでピアノ協奏曲を聞き漁っていますが、初めて聞いた作品も。

それが現在では変わりつつあり、作品が再評価されており、第1番が秀逸です。

しかも、大学の研究者の中に、この人の研究で博士論文を取得した人までいる。
ピアノソナタも演奏される機会が、ままあるようで、無名でもなくなりました。

ただ、未だにラフマニノフの亜流と言われて、演奏会される機会は多くはない。
思うに、十九世紀末~二十世紀初頭の後期ロマン派の作品は、似通うものです。

だからと言って真似をしたわけでもないし、同じロシア出身の作曲家だからね。
スラブ的な風土が育んだメロディーというのは、体に染みついているはずです。

一方、ロシア革命で祖国ソヴィエトを離れた演奏者・作曲家は、数知れません。
ラフマニノフは米国で亡くなり、このボルトキエヴィチは、オーストリアです。

ただ、この人、正確にはウクライナ出身で、当時はロシア領だったから良いか。
他には、インドのマハラジャが金銭面でサポートしたメトネルは、イギリスね。

まあ、このボルトキエヴィチさんは、避難先のトルコでセルビア大使に出会う。
この大使の庇護からビザをせしめて、音楽の都ウィーンへ向かったという分け。

結果、ロシア革命のおかげで、ロシアの芸術家が世界に広がって活躍しました。
ただ、ラフマニノフばかりが有名になり、他の芸術家は除け者にされた感じだ。

CDはハイペリオンレーベル
     
だけど、このピアノ協奏曲1番は、ユーチューブ動画で”MUST HEAR”だって。
絶対に聞けとタイトルされていて、確かに鑑賞すれば、これがマイナーなのか。

ラフマニノフの2番に負けず劣らずで、メトネルの1番と併せて聞いてみよう。
それなりに違いも分かって、ロシアの色濃い後期ロマン派にどっぷりつかれる。

面白いのは、この協奏曲の第三楽章で、トライアングル、タンバリンが印象的。
この頃のロシア出身の作曲家が好んで用いる楽器で、バラキレフの作品も同じ。

交響曲第2番の第二・四楽章でも使われていて、リズミカルな楽章が楽しそう。
そんな協奏曲は聞きやすいメロディーで、なぜメジャーにならないのか不思議。

というわけで、音楽評論家の黒田恭一さんが書き残した一文が、心に残ります。
それは、「聴き慣れた有名な曲を楽しむこと、そのことにはなんの問題もない。ただ、新しい未知の音楽を求めていかないと、音楽に対する気持ちにゆるみが出ないでもない」と書いていて、こんな美しいのに演奏されなかったり、録音が少なかったりする、そんな不思議な秘曲が存在するということを、この作品で腑に落ちたような気になったのでした。
        
おまけ:メトナーについても投稿しています。



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