2020年5月16日土曜日

"君知るや 薬草園に 紫蘭あり"と詠んだ虚子の俳句の通り、春を飾る見ごろの花であったな - シラン(紫蘭)

   
終の棲家と決めて、このマンションに住んで、はや二十年以上になりました。
会社まで歩いて通勤できて、すぐ目の前は里山の森で都会には思えないんだ。

春の季節が巡って、早朝には、ウグイスもジュウシマツもさえずってくれます。
横浜なのに、中心部を外れて郊外に来てしまえば、意外に自然が残っています。

ただ、この辺は宅地開発がかなり前に終わって、残された農地もありません。
ただ、地主の農家さんが市民菜園で貸し出したり、小規模に耕作をしています。

一方で、地主として古い平屋の借家も数多く所有していいて、よく見かけます。そういった家作に昔から住んでいる人も、すでに年老いた老人が多いようです。

このため、無理な立ち退きもできず建て替えもできずに、家は老朽化したまま。
周りの露地には、四季折々に花も咲いているので、丹精に手をかけているのか。

なので、手入れされた花を見ると、つつましい家にも人が住んでいると分かる。
他方、手入れもおろそかなまま荒れていれば、もう住む人もいないのでしょう。

そんな家作で見かけたのが、このシラン(紫蘭)ですが、家は閉まっています。
誰も住まなくなってから数年ぐらいかなと思いましたが、土地が荒れています。

しかも、水やりは雨水に頼るだけで最近は雨もなく、からからに乾ていました。
なので、花は咲いていましたが、心持ち勢いがなく弱弱しいと思ってしまった。

地面をよく見ていますと、地表には里芋みたいな球根が露出しているのです。
しかも芽を出さないまま、芋塊が数珠つなぎになったままで表面が乾いている。

    
このままでは、来年になっても芽を出さないと考えて、指で掘り起こしたんだ。
それが、この写真ですが、調べてみると球根ではなくて、偽球茎と言うらしい。

園芸家はバルブともいうようですが、英語では球根をさすので、少し違います。
”pseudobulb”が正解で、ちゃんと形容詞のニセ=pseudoが付いていました。

さて、ご近所でよく見かける紫蘭ですが、このバルブが地表によく出ています。
手入れが悪いと、球茎が数珠のように成長して、地面から押し上げられるんだ。

そこの住む人のいなくなった家の路地も、シランは窮屈な思いをしたのだろう。
少し、かわいそうな気もしてきまして、少しだけ掘り起こして植え替えました。

鉢植えでも花が咲いてくれるとのことで、今年は芽が出なくても来年に期待だ。
他の露地で拾ったバルブは、遅まきながら芽が出ましたが、花は無理だろうな。

というわけで、故郷の北海道では生育できず、見ることのなかった紫蘭でした。
この他、ホタルブクロも育てていますが、これも寒冷な北海道では見かけることの少ない花でして、還暦を迎えたおじじになってすら、内地と北海道の気候の違いについて、改めて植物を通して目から鱗になるとは思わなかった自分がいるのでした。



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