ノルウェイの作曲家、グリーグは、カエルの置物を片時も手放さずにいました。
就寝の時ですら、同じように子豚の置物と一緒にして寝息を立てたと言います。
ヨーロッパでは、カエルは恋愛成就のお守りと考えられていて、幸運の守り神。
泡に包まれた卵から生まれますが、その姿がヴィーナスを連想させてくれます。
つまり、ヴィーナスは恋愛の象徴で、連想させるカエルは恵みをもたらすのだ。
まあ、ヴィーナスと同じ恋愛成就の効果があるのと考えられているのでしょう。
そんなことで、グリーグもお守り代わりにとても大切だったのは理解できます。
さて、この国民学派の作曲家は、祖国の民族音楽から深い影響を受けたのです。
作曲した”ペール・ギュント”第1組曲の第1曲「朝」の冒頭は、良い例でしょう。
次に、ピアノ協奏曲を聞くと、ロマン派の作品と感じが違うなあと直感できる。
実は、リストに会見したグリーグは、持参して来た協奏曲の手稿を見せました。
これをピアニストの大家が、初見で弾いて、第三楽章のある部分で感動します。
”これが本当の北欧だ”と絶賛したというエピソードなのですが、さもありなん。
一方、同じ時代に活躍したノルウェイの作曲家が他にもいることはいるのです。
Christian Sinding (1856-1941) |
特にクリスティアンシンディングは、当時、グリーグに匹敵するほどの作曲家。
それほど知られていましたが、今やピアノの小品が一つだけ知られるだけです。
”春のささやき”という三分足らずで、交響曲も書いている作曲家なんだけれど。
四つの交響曲、三つのバイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲など作品は多いのです。
なのに、忘れ去られたのは、ドイツロマン派音楽の作風に追従したからだろう。
やはり、北欧出身は亜流と見られたのかもしれず、しかもナチス協力の烙印も。
結局、祖国ノルウェーからも、反逆者呼ばわりの烙印を押されてしまいました。
シンディング本人は、これを非常に後悔していたのですが、覆水盆に返らずね。
このようなナチスの因果で、歴史から消されてしまった作曲家も多いのは事実。
それで、本人は最初バイオリニストを目指しただけあり、協奏曲がお薦めです。
聞いていると、ワーグナーやシュトラウスの管楽器の楽想が見え隠れしている。
だから、正当なロマン派を受け継いだ人だともいえるが、脱却もできなかった。
というわけで、グリーグは身長が五尺しかなくて、欧米人にしては小柄でした。
一方、その頃の明治時代における日本人ですら、平均身長は少し高い五尺二寸なので、それを思うと本当に背が低くて、ピアノを弾くときなどは、鍵盤を自在に演奏するために椅子に楽譜の本を何冊も重ねて座らなければならなかったようですが、日本で暮らせばコンプレックスを感じなかったのになあとも思ったのでした。
子豚さんの置物だそうです |
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