Mily Balakirev (1837 - 1910) |
クラシックの作曲家ドヴォルザークは、鉄道オタクの先駆けとして有名でした。
自宅や職場の近くの駅の時刻表を覚えてしまい、列車の運行を当てられたとか。
そして、運行と違う列車があれば、車掌や運転士に質問したと言われています。
プラハに住んでいる時など、作曲が煮詰まると、気分転換で駅に出かけました。
列車を眺めたり、車掌や駅員と話す内に、気も変わって作曲に打ち込めたとか。
鉄道関係者でもないのに、遅延した列車の乗客に駅で謝罪した逸話もあります。
この話、昔、NHKのクイズ番組”クイズ日本人の質問”でも出題されていました。
古舘伊知郎が司会役になり、4人の「もの知り博士」から回答を引き出します。
それを、2人1組の「解答者」4チームが、正しいと思う回答を当てさせる番組。
よもや、作曲家が鉄オタだったとは思えず、番組を見て強く印象に残りました。
それで、彼の作品に、蒸気機関車の走りになぞらえて作曲した部分があるとか。
有名な交響曲9番”新世界”の第四楽章なんか、開始から動輪が動き出す雰囲気。
アメリカの音楽院に赴任した理由も、アメリカの鉄道を間近で見たかったから。
そんな動機がまことしやかに語られているくらいに、筋金入りのオタクでした。
それで、冒頭写真の作曲家バラキレフは、ロシア五人組のリーダー格で有名ね。
このグループは、民族主義的な芸術音楽の創造を志向した作曲家達を指します。
ところが、バラキレフは音楽家の道を一度諦めて、鉄道事務員をしていました。
およそ七年の間、全く音楽から離れていて、しかも遅筆なめか作品は多くない。
まあ、本人は大学で数学を専攻したので、運行ダイヤでも組んでいたのかなあ。
とにかく、生計のために鉄道で働いていたようですが、個人的に好きな作曲家。
作品は文中で紹介 |
特に最晩年に作曲した交響曲2番は、第1番の発表から九年も掛けて完成した。
まあ、第四楽章など、人生を謳歌し賛美したかのような味わい深い明るさです。
ロシアの画家、レーピンの作品に”夕べの宴”がありますが、雰囲気がピッタリ。
スラブ的な抒情性の色濃いダンスのリズム感に酔いつつ、交響曲は締めくくる。
特に、タンバリンとかトライアングルの使用が、アクセントを付けて楽しいな。
こういった小型の打楽器を活用した演奏は、生き生きとした臨場感に溢れます。
というわけで、正に今日が、ご本人の命日である5月29日に当たり、投稿です。
実は、昨年の2020年は、没後110年に当たっていたのですが、コロナ禍のせいとは言え、音楽界ではシラっと無視されてしまって、個人的に好きな作曲だからこそ、忘れ去られないで居て欲しいと、強く思う愛好家なのでした。
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