平成3年3月24日滑走 |
堀辰雄という小説家がいまして、 その全集を中学生の頃に読んでしまいました。
ませたガキなのかもしれませんが、 文体は子供なりに高尚で美しいと感じていました。
また、小説の舞台が世間離れしていて、 軽井沢だったり富士見高原だったりしました。
ごく普通のサラリーマンの子供だった自分には、 避暑地の設定など夢のような話です。
休暇を取って暑さを逃れて別荘へ赴くなど、 自分の生活からかけ離れていたのです。
小説の中で描写される暮らし向きが、実にお洒落でして、 自分もあこがれていました。
ただ、当時は北海道に住んでいて、 夏は避暑地と同然の気候だったのですけどね。
読んでいて深く感じたのは、代表作の「風たちぬ」 で描かれる白樺林の情景です。
グーグルドライブはこちらから 全ページご覧いただけます |
この小説は、スキー場のある富士見高原のサナトリウム(療養所) を舞台としています。
美しい風景の中で、 主人公は重い結核に冒されている婚約者に付き添っていました。
彼女の死の影に怯えながらも、 二人で残された時間を支え合って共に生きる物語です。
生きて死ぬことの意味を問い、 時間を超えた生の意味と幸福感が描かれたのだとか。
作中の「風立ちぬ、いざ生きめやも」という詩句が有名なので、 ご存知かもしれません。
この樹木ですが、北海道なら平地のどこにでも見られるもので、 ごくありふれています。
一方、本州で眺めるには高所まで出かけるのが必要なことを、 この小説で知りました。
後年、長野県へは遊びで出かけるようになりましたが、 どうにも白樺の木が小汚い。
この富士見高原でも見かけることがありましたが、 やや褐色でくすんだ色合いです。
変だなーと思いつつも、 暑いし日差しも強いから日焼けしたのだと断定していました。
白樺も色がくすんだりはしますが、 それでも高原の白い貴公子のイメージにふさわしい。
そして、この富士見高原リゾートにも白樺林があるそうで、少し気になってしまいました。
というわけで、かの地は、昔は結核患者が療養で過ごす空気のよい場所なのでした。
そんな印象が自分なりに強いわけで、 スキー場のイメージとはかけ離れているのです。
実際に滑ってみましたら、 とてもかわいいゲレンデの中は家族連れで賑わっていましたし、 そのスタイルは、 今も変わらずにファミリーに愛されつつ営業しているようですので 、高原の避暑地は、 通年で遊べる場所に変身していたのだというのを、 再認識したのでした。
おまけ:
グーグルドライブはこちらから 全ページご覧いただけます |
グーグルドライブはこちらから 全ページご覧いただけます |
グーグルドライブはこちらから 全ページご覧いただけます |
クリックで拡大します |
いいねと思ったら、二つポチっとね!
0 件のコメント:
コメントを投稿